土曜日, 2月 4, 2023
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公と⺠の連携・協働「⺠俗資料×現代アート」の新たな体験

10/1〜12/19「国讃めと屍」瀬戶内ギャラリー第3回企画 藏本秀彦・水谷一 美術展 開催

瀬戶内アートコレクティブは、「地域社会とアーティストの間にパートナーシップを創り出し、持続的な価値創造に繋がるプロジェクトを構築すること」をテーマとして、様々な取り組みを行なっています。

その取り組みのフロントラインとして現在、瀬戶内海歴史⺠俗資料館様との協働企画、美術展「国讃めと屍」を開催しています。本展は⺠俗資料と現代アートのコラボレーションが実現した希少な体験のできる機会となっており、ぜひ多くの方にお届けしたく、ご案内させていただきました。

出展は二人の現代美術アーティスト、藏本秀彦と水谷一。両名は今回、柿本人麻呂の和歌からインスピレーションを得て、東日本大震災や、海の彼方に先祖の霊を送る精霊船の習俗などに思いを寄せ、木造船や漁具といった数々の過去の遺品が展示された大空間を背景とし、作品を展開しています。

また展覧会場の現場だけでなく、マターポートや記録集など、多層的に本企画はその表現の幅を広げています。
公と⺠の連携・協働より生まれた本展、ご関心をお寄せ頂ければ幸いです。何卒、宜しくお願いいたします。

 

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  • 本企画のあらまし

沖つ波来よる荒磯を 敷きたへの枕とまきて 寝せる君かも

これは飛鳥時代の歌人、柿本人麻呂によるもので、瀬戶内海に浮かぶ島、現在は埋め立てられて陸続きとなっている沙弥島(香川県坂出市)を訪れた際、岸の岩場に倒れた亡骸を見て詠んだ歌の反歌です。

⻑歌では言葉を尽くし、美しい讃岐を礼讃しています。続いて潮時の強風、沖の大波、岸に騒ぐ白波の描写がなされ、そして人麻呂は岩場に倒れ、荒波を枕にする亡骸を見て、その人の家や配偶者に思いを馳せます。鎮魂のため、人麻呂はこの歌を死者への手向けの花としたのでしょう。讃歌的表現は当時、「言霊信仰に支えられ、願わしいことの実現を目論む予祝的な表現といえばいえると同時に、権力者の心に叶う表現」※であったようです。その一方この時、人麻呂が訪れた島では荒波があり、強く風が吹き、そして目に見える死がある。こうしたイメージはどこかこのコロナ禍における私たちの世界に重なって来るようです。本展タイトル「国讃めと屍」はこの歌を巡る、出品作家である二人の現代作家の対話から生まれました。

今回出展されている作品はこの展覧会タイトルほど直接的ではないものの、二人の作家が「鎮魂」や「記憶」、「過去と現代」、「当事者性」といったキーワードからイマジネーションを得たものとなり、そのテーマは資料館の主たる守備範囲である「⺠俗学」にとっても重要なものです。

⺠俗学は当初から「霊魂」の処理や行方、先祖の供養や無縁の霊が及ぼす災厄などについて強い関心をはらってきました。また、「話者」からの聞き取りを主たる資料としている⺠俗学にとって「聞き手」である採集者の客観性や当事者性、地域との向き合い方などは、「経世済⺠」を標榜してきた⺠俗学ゆえに、他の人文諸科学とは異なり、大きな課題ともいえるでしょう。表現者である芸術家と同様に対象への向き合い方がより問われる学問とも言えます。

新型コロナウイルス流行に端を発し、厳しい世情の続く昨今、人麻呂がかつて死を見つめた情景を表題に込めた二人が描き出す「現代表現の今」に是非ご期待下さい。 

※)引用:寺川眞知夫『狭岑嶋の石中死人を視て作る歌』万葉古代学研究所年報第8号(2010年3月),奈良県立万葉文化館,p.10
http://www.manyo.jp/ancient/report/pdf/report8_1_samine.pdf

 

  • みどころ

現在のコロナ禍は現代美術を取り巻く環境の脆弱性や課題をあらわにしました。私たちはその渦中において、地域と現代美術の関わりが、これからの暮らしにどのような変化や価値をもたらすのかに強い関心を抱いております。

本展のユニークな点は公と⺠が対等な立場で企画を共に立案・実行することで推進されてきたこと、そして瀬戸内の歴史を一つのインスピレーションの源泉としたアーティストの視点でもって⺠俗資料の持つ価値や意義をあらためて見つめ直しているという点にあります。 ぜひ、現場で、マターポートで、記録集で本企画に触れ、瀬戸内という地域のこれからとこれまでに思いを馳せていただければと思います。
 

  • Matterport(オンライン上での3D現場体験)展覧会実施

​今回は新たな手法として、展覧会場をバーチャル上で観覧できるMatterport(オンライン上での3D現場体験)を展開しています。現地に足を運ぶことができない方のために、そして本企画をまた新たな視点で鑑賞いただくことの出来る第三の場です。特設サイトからぜひご鑑賞ください。

▼特設サイトはこちら
https://my.matterport.com/show/?m=D9sQBvfC8RW

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  • トークイベント・記録集販売

出展アーティストの藏本秀彦氏、水谷一氏、瀬戶内海歴史⺠俗資料館⻑の田井静明氏、香川県立ミュージアム 美術コーディネーター 田口慶太氏を迎え、高松シンボルタワーにてMatterportを駆使し、「⺠俗資料」と「現代美術」の邂逅 について思いを語ります。また、11月初旬からは、香川県立ミュージアムやインターネットなどを通じて本展の記録集の販売も行います。

▼トークイベントに関するご案内

https://prtimes.jp/a/?f=d67257-20211027-84c4ee39405d1a5a25569ffd9b55ed3f.pdf

 

▼トークイベントのお申込みはこちら
https://forms.gle/G9J7uKSUVFBzmocU6
 

  • さらなる創造にご支援を

本展は、限られた予算の中、Matterportや、充実した記録集の制作、トークイベントの実施によって、様々な方向から作品を体感できるように工夫を行なっています。本企画ではこうした無限の創造力を一つでも叶えてゆくため、企画進行と共に寄付を募っています。

▼ご寄付の受付はこちら

https://syncable.biz/campaign/1851
 

  • 出展アーティストについて

出展者は、香川県高松市で教鞭を取り、次世代の教育に携わりながら精力的に創作を続けるアーティスト、藏本秀彦氏(b1965)と、これまで国内外の様々な土地に赴き、多様な文化の表れを見つめ活動を行って来た水谷一氏(b1976 )の2名です。瀬戸内地域や表現に対するそれぞれ独自の眼差しは、本展のみどころの一つになっています。

両名はまた、本展に以下のコメントを寄せています。本展の入り口として、瀬戸内や各アーティストの表現にイメージを広げる窓口として、多くの方に読んでいただければ幸いです。

  • 本展に寄せたアーティストからのコメント

■ 藏本 秀彦 (くらもと ひでひこ)

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あれから10年が過ぎました。日本中が悲しみに沈んだ時、アートは即効性を持たず、その場で役に立たないことを突きつけられ、無力さを実感した瞬間でもありました。その時、やや決心にも近く記憶を風化させないというひとつの点においてのみ作品を作り続けようと思いました。 それと当事者性を獲得するということ。震災や原発をモチーフとして制作するということ自体に我々は尻込みしたし、批判の対象にもなりました。しかし福島にしても世界のテロルにしても当事者性を少しでも獲得しようとする姿勢が必要であると感じています。つまり想像する、イメージすることが、声高らかにではないかもしれませんが表現の使命だとも思いました。当時から信頼できない情報をテレビやモニターの表面から受け取り、日々の生活から思考停止される私達への警鐘として実際にある風景ではなく心の中の絶望を描いた「TRUST」は存在しています。
それとは別に希望や悲しみの上にも、見えない不安の上にも同じく木漏れ日は降り注ぐ。「それでも木漏れ日は」という絵画には、とてつもない遠い未来に向き合う誇りと精神の錨を投げる決意と強さを込めました。2つの切り口の絵を描くことが僕にとってのバランスでもあったわけです。

 

【略歴】
筑波大学大学院芸術研究科修了。学生の頃より和歌山版画ビエンナーレ、西武版画大賞展、クラコフ国際版画トリエンナーレ、ブダペスト国際展など版画領域で独自な手法が注目される。その後「毎日現代展」に連続出品。「安井賞展」「VOCA」「ACRYLAWARD」「FACE」「ARTOLYMPIA」や「CROSSPOINT」(香川県立ミュージアム「高松市)美術館コレクション+木村忠太とこぼれる光の中で」(高松市美術館)などに出品。県内ではKinco.hostel+café、あーとらんどギャラリーなどで個展開催。その他、蝉丸(山海塾)、梅津和時(sax)、岩下徹(ダンス)、高橋芙美(渋さ知らズ)、usaginingen(artist)などコラボレーションも多い。
【​ウェブサイト】 https://kura-moto.wixsite.com/kuramotohidehiko

 

■水谷 一 (みずたに はじめ)

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寂しさもロマンも不在から生まれます。博物館の展示品 ー 遺物のそれぞれはいずれもかつての誰かの気配であり、遺物それぞれを使ったり作ったりした方のほとんどはもうこの世にはいません。彼/彼女らの生きた時代を私達は生きていません。実在の伴わない気配を不在と呼ぶとすれば、博物館は不在で溢れています。
瀬戸内海歴史民俗資料館、第1展示室2階、瀬戸内ギャラリーの床に海面の広がりを想像してみて下さい。静かで鏡のように凪いだ海です。階下には大きな船舶を始め、この地域に人が生きた手触りのような沢山の遺物が並んでいます。ギャラリーの床を水面とすれば、1階の展示空間は水面下、つまり水中遺跡に見えて来ます。高く位置する海面はまた、あの災害にも連想は及ぶかも知れません。或いは、階下を過去=古い地層と捉えるなら、2階のギャラリーに今=現代層を感じる事も出来るかも知れません。かつて瀬戸内海に浮かぶある島では、新盆に灯籠、そして菓子や果物といった供物を乗せた小舟を海に流し、故人を偲ぶという風習がありました。今でもそれは形を変えて残っています。しかし時代と共に、岸から遥か沖に消える小舟を見届ける、そうした時間は消えてなくなりました。実在はもうそこに存在していないのです。

 

​【略歴】
​ 定住化の影響、人や動物の認知過程、社会変化、死生観の変遷について思考し、国内外で滞在制作を行う等、様々な機会、状況との影響関係の中で表現の実態や実体を問う。2000年代始めに高速道路を思わせる鳥瞰的風景画でキリンアートアワード(奨励賞、2003年)等、コンペティションを中心に発表を重ね、INAXギャラリー(東京)での個展(2003年)を経た2004年、国際芸術センター青森において場を取り込むインスタレーション『襞(ひだ)』を発表。それ以降、多様な表現手法を用いながら2021年までに14のアーティスト・イン・レジデンス参加。2010年「VOCA新しい平面の作家たち」、2013年「瀬戸内国際芸術祭」、2020年「富士の山ビエンナーレ」、2021年「歓喜のうた(愛知県立芸術大学サテライトギャラリーSA・KURAでの個展)」他、展覧会に出展。2019年、文化庁新進芸術家海外研修制度によりベルリンに一年間滞在。また、2021年「イタリアの三日月」(AzumateiProject、神奈川)等、展覧会企画も行う。
【​ウェブサイト】 http://hajimemizutani.net/2019-2020

 

【開催概要】
展覧会名:瀬戸内ギャラリー第 3 回企画展 藏本秀彦・水谷一 美術展「国讃めと屍」
​会期:2021年10月1日(金)~12月19日(日)※観覧無料
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は、原則として翌火曜日)
会場:瀬戸内ギャラリー(瀬戸内海歴史民俗資料館 第1展示室2階)
主催:瀬戸内海歴史民俗資料館(香川県立ミュージアム分館)、瀬戸内アートコレクティブ
助成:文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
特設サイト:https://www.setocole.com/kunihometoshikabane?lang=ja

 

【トークイベント】
開催日期:2021年11月21日(日)※要申込み、参加無料
時間:午後2時~午後3時(開場は午後1時45分)
会場: 高松シンボルタワー:情報通信交流館 e-とぴあ・かがわ/BB スクエア
    ⾹川県⾼松市サンポート2番1号 ⾼松シンボルタワー タワー棟4・5階
主催:瀬戸内アートコレクティブ
助成:文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
特設サイト:https://www.setocole.com/kunihometoshikabane?lang=ja
トークイベントに関するご案内:https://prtimes.jp/a/?f=d67257-20211027-84c4ee39405d1a5a25569ffd9b55ed3f.pdf

お申込みフォーム:https://forms.gle/G9J7uKSUVFBzmocU6
 

以上、取材等、ご連絡お待ちしております。どうぞ、宜しくお願いいたします。

株式会社瀬戶内アートコレクティブ 代表 片倉恒

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