同じ図柄が語る、ひとつずつ違う物語 | オリオール・ヴィラノヴァ個展「Original Copy」をKOTARO NUKAGA(六本木)で開催

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同じ図柄が語る、ひとつずつ違う物語 | オリオール・ヴィラノヴァ個展「Original Copy」をKOTARO NUKAGA(六本木)で開催のメイン画像

2026年8月1日(土)– 9月12日(土)

KOTARO NUKAGA(六本木)では、スペイン出身のアーティスト、オリオール・ヴィラノヴァ(Oriol Vilanova)の日本での初個展「Original Copy」を、2026年8月1日(土)より9月12日(土)まで開催いたします。

同じ絵なのに、なぜか一枚ずつ違って見える——。20年以上にわたり蚤の市や古書店を巡り、世界中で見つけたポストカードを集め続けるヴィラノヴァ。大量に複製されたはずのイメージは、どんな時間を旅したかによって「たった一枚の物語」へ変わっていきます。

第61回ヴェネチア・ビエンナーレでスペイン館の代表作家として国際的評価も盤石とするヴィラノヴァによる、日本初個展である本展では、ポストカードを用いた新作を展示します。無数に刷られ、人の手から手へと旅を重ねてきたささやかな印刷物は、いま私たちのまなざしに何を映し出すのか。ぜひ会場にてご高覧ください。 

開催概要

オリオール・ヴィラノヴァ「Original Copy」

会期: 2026年8月1日(土)– 9月12日(土)

 

開廊時間: 11:30 – 18:00(火 – 土) 

※日月祝休廊

※夏季休廊 8月9日(日)– 8月17日(月)

会場: KOTARO NUKAGA(六本木)

    〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F

キュレーション: 宮津大輔(アートコレクター、横浜美術大学教授)

オープニングレセプション: 2026年8月1日(土) 16:00 – 18:00

※オリオール・ヴィラノヴァが在廊します。

展覧会の見どころ

(1)2026年ヴェネチア・ビエンナーレ・スペイン館展示と対照をなす展示

Oriol Vilanova《Los restos》(©️Arquitectura Viva)
Oriol Vilanova《Los restos》(©️Arquitectura Viva)

ヴィラノヴァは2026年の第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展のスペイン館代表として、アートプロジェクト《Los restos(残されしもの)》を発表しています。本作は20年以上かけてヴィラノヴァが蚤の市や古物店で集めた5万枚以上のポストカードで、スペイン館の内部空間を埋め尽くす大規模インスタレーションです。膨大なポストカード群がもたらす視覚的な飽和、そして“提示/陳列”という形式そのものが、価値や文脈がいかに構成されるかを可視化する作品として注目を集めました。多数の海外メディアで展評が掲載されたほか、704ページにわたる本展のカタログがすでに完売しています。

Oriol Vilanova《Spin Off》 2022. Phenomenon Anafi. (Photo: Alexandra Masmanidi)

ヴェネツィアが全壁面を覆うイマーシブな飽和だとすれば、東京の「Original Copy」は、ギャラリーの壁面の形状に合わせ、余白を重視した抑制的な構成をとります。同一図柄のポストカードの列が、白い空間に間(ま)をとって配され、リズムと静けさを生み出します。

この余白は、日本の伝統的な美意識(「禅」の精神性や「侘び寂び」)、そして20世紀建築を代表するミース・ファン・デル・ローエに帰される金言「Less is More(少ないほど、より豊かである)」とも響き合います。建築を専攻したヴィラノヴァならではの、空間への明察がここに表れています。「同じ年に、同じ作家が、飽和と余白という正反対の解を示す」——ヴェネツィアとの対比そのものが、本展の見どころです。

(2)「Original Copy」というタイトル——複製でありながら、唯一無二

Oriol Vilanova《Old Masters (Monet)》 2026 (Detail)

本展の作品は、同一図柄のポストカードを、最少2枚から最大32枚まで反復して構成されます。ここで問われるのが、展覧会タイトルにも言及された「オリジナル/コピー」の両義性です。

ポストカードは、大量に刷られた複製です。しかしそれぞれのポストカードには、住所・宛名とともに、一枚ごとに異なる手書きのメッセージが記された唯一無二の痕跡が残されています。たとえ未使用であっても、刷られた土地から土産物・記念品として世界へ散らばり、時を経て別々の経路で作家の手に渡った——その来歴はどれも異なります。

Oriol Vilanova《Old Masters》

複製されたイメージでありながら、それぞれが固有の歴史を抱え、消えゆくはずの「アウラ」を宿している。ヴァルター・ベンヤミンが論じた複製とアウラの問題を、ヴィラノヴァはポストカードという身近な素材で、いま・ここに更新してみせます。デジタル画像が無限に増殖する現在において、この「Original Copy」という問いは新たな切実さを帯びます。

(3)宮津大輔氏によるキュレーション

本展は、「サラリーマン・コレクター」として400点超の現代アート・コレクションを築き、ARTnews「Top 200 Collectors」にも名を連ねるなど、同時代性への鋭い感度で国際的に注目される 宮津大輔氏がキュレーションを務めます。

宮津大輔氏 (@Tadayuki Minamoto)

宮津氏は2017年、イギリスのデルフィナ財団のレジデンシー・プログラムの一環として、擬人化したコレクションに宛ててラブレターを書くというプロジェクトにヴィラノヴァと共に取り組みました。

本展では、ヴィラノヴァの実践を、制度・市場・鑑賞体験へ接続する視点から読み解きます。

宮津氏が本展に寄せて執筆したテキストは下記からご覧いただけます。

Oriol Vilanova

Oriol Vilanova(Photo; Ingrid Sala)

1980年、スペイン・マンレサ生まれ。バルセロナのラモン・リュイ大学ラ・サリェ校建築学部を卒業。現在はブリュッセルを拠点に活動する。
ヴィラノヴァは、イメージの収集とドキュメンテーションを軸とした制作手法に基づき、作品を視覚的資料のアーカイヴ、あるいは百科事典として提示し、過去に対する一義的な読解を脱構築してみせる。作家がリサーチする場所としてもっとも好んでいる蚤の市をくまなく探り、ポストカードのコレクションを構成し、自身の制作するインスタレーションやパフォーマンスの思想的な素地を与えてくれる「思考する機械」を作り出そうとしている。
2019年には米国の主要美術館初個展となるバッファローAKG美術館での「Anything, Everything」、ヌーヴォー・ミュゼ・ナショナル・ド・モナコで個展「Unecollection peut en cacher une autre」を開催した。2022-23年にはクンストムゼウム・ボーフムにて個展「No hiding place is completely safe」、2023年にはKOTARO NUKAGAで二人展「Economy and Love」に参加した。2025年にはポンピドゥー・センター・メスでグループ展「Copyists – In an exceptional collaboration with the Musée du Louvre.」に参加、2026年には第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展のスペイン館代表として、アートプロジェクト「Los restos」を発表した。コレクションとして、バッファローAKG美術館、バルセロナ現代美術館(MACBA)、グラン・オルニュ現代美術館(MACS)、マトハフ・アラブ近代美術館等に作品が収蔵されている。