2026年6月1日(月)公開のパブリックアートプログラム「APK PUBLIC Vol.2」では、手塚愛子、藤倉麻子、渡辺志桜里が新作を発表。「未完の都市」をテーマにそれぞれの視点から都市とは何かを問い、そのイメージを再解釈する。

戸田建設(株)(社長:大谷 清介)は、2026年6月1日(月)より、東京・京橋の本社ビルTODA BUILDING(以下、TODAビル)の1Fエントランスや広場、2F回廊で展開するパブリックアートプログラム「APK PUBLIC Vol.2」を公開しました。本プログラムで展示される作品の詳細についてお知らせいたします。
APK PUBLIC Vol.2 キュレーターステートメント
未完の都市:The Becoming City
東京の中心に位置し、明治以来、都市の造成に関わってきた戸田建設の本社。その新社屋のパブリック・スペースに展開する本プロジェクトは、手塚愛子、藤倉麻子、渡辺志桜里の3人の作家がこの場所のために生み出した新作によって、都市とは何かを問い、そのイメージを再解釈するものです。ここで可視化されるのは、政治や資本、物流、社会的欲望、歴史的な因果など、都市空間を生成させるもろもろの力です。都市とはこれらがぶつかりあう摩擦のプロセスであり、そうした定まらない姿としてのみ現れるものではないでしょうか。
手塚愛子の作品は、都市を一つの身体とみなすような想像力の中で、壊すことと作ることが同時に行われてきたその生成の物語に向き合うものです。国家儀礼の祭祀服、古地図、買い物メモやネイルアート——近代の担い手たちの歴史から今を生きる人々の日常まで、多層的なイメージの中に、ものを作る人間の営みの連鎖が浮かび上がります。
近代都市の生成が垂直方向へ広がる欲望に結びついているとしたら、藤倉麻子の作品が提示するのは、水平方向への想像力といえます。ビルのポーチに現れるもう一つの入り口から、太陽の光という外在的な原理に導かれる、オルタナティブな架空の都市の姿が現れます。
効率優先の建設の現場においても、今なお地鎮祭は欠かせない儀式です。そうした現代に残る霊性に着目しつつ、能舞台の下に埋められている音響装置としての甕をモチーフとする渡辺志桜里の作品は、都市や国家の生成に際して、その古層に、抑圧されながらも残り続ける声に触れるものです。
新社屋の完成された空間に、作家たちの想像力によって現れるこれらの細部は、合理性や画一化された価値観から離れて都市をイメージすることへと私たちを導きます。そのとき、記憶の堆積、偶然や予測不可能な未来をはらみながら、世界が本来もつ豊かさを感受する回路がひらかれるはずです。全ては移り変わりの中にあり、そして誰もが、いかなる場所も支配し占有することはできないことを伝えつつ。
――藪前知子(東京都現代美術館学芸員)
APK PUBLIC Vol.2 各作品紹介
手塚愛子《生きるものを容れるもの(戸田建設史からのスタディ)》 2026

エントランスの巨大空間に、解体と構築を繰り返してきた近代都市の歴史を多層的に展開します。マーシャル諸島の海図に着想を得た身体的な地図、万博や近代織物史をめぐる作品に加え、新作の西陣織では、江戸末期から現在に至る東京中心部の土地の記憶が浮かび上がります。古地図や建設の歴史、個人の日々の痕跡が重なり、強固な都市構造と柔らかな身体のあいだに、幽霊のような都市の輪郭が現れます。
藤倉麻子《オープンサンライズシティ・プロトコル》2026

現代の東京近郊の造成風景に、架空都市「オープンサンライズ・シティ」をめぐるフィクションを重ねた映像インスタレーション。苛烈化する太陽光を遮りつつ、朝日を最大効率で取り込むことが目的化された巨大な岩盤に守られた世界。そこには人間とAIの協働によって構築されたOSが存在しています。管理と逸脱が織り合わさったフィクションと現実の往還の中で、垂直ではなく水平方向へ、脱中心的に拡張し生成する都市の想像力が現れます。
渡辺志桜里《Stock》2026 / 《地霊》2026

《Stock》は、植物や魚、バクテリア、水の循環によって自律的に変化し続けるエコシステムを、企業に一定期間貸与するプロジェクトです。「株式(Stock)」と「株分け」を重ねながら、価値や所有のあり方を問い直します。新作《地霊》では、音響効果のために能舞台の床下に埋められた甕の存在や足拍子を手がかりに、国の成立に際して圧服された存在や、土地に封じられてきた声を呼び覚まします。抑圧された古層の記憶と、破壊と再生の両義的な響きが空間を満たします。
APK PUBLIC 概要
「APK PUBLIC」は、新進アーティストやキュレーターによる都市の風景を担う大規模な作品発表の場として、TODA BUILDINGの共用空間を活用し、更新性のあるパブリックアートを展開するプログラムです。来街者やオフィスワーカーが日常的に作品のある空間を体感し、クリエイティビティが刺激されることで、視野の拡張をもたらし日々の生き方や働き方を豊かにしていくことを目指します。

【APK PUBLIC Vol.2 開催概要】
会期:2026年6月1日(月)~2027年11月30日(火)
時間:7時~23時(年中無休/1月1日を除く)
会場:TODA BUILDING 広場、1-2Fエントランスロビー(東京都中央区京橋1-7-1)
主催:戸田建設株式会社
協賛:株式会社川島織物セルコン、株式会社日本HP
アーティスト:手塚愛子、藤倉麻子、渡辺志桜里
キュレーター:藪前知子(東京都現代美術館 学芸員)
WEBサイト:https://www.apk.todabuilding.com/program/public-art-program-vol2/
APK PUBLIC Vol.2 イベント情報
【APK PUBLIC Vol.2 アーティストトーク】
開催日程:2026年6月6日(土) 15:00~17:00(開場14:30~)
会場:TODA BUILDING 3F APK ROOM
登壇者:手塚愛子、藤倉麻子、渡辺志桜里(APK PUBLIC Vol.2出展アーティスト)
モデレーター:藪前知子(APK PUBLIC Vol.2 キュレーター/東京都現代美術館 学芸員)
主催:戸田建設株式会社
定員:40名(事前申込制) ※ArtStickerより申込受付中
WEBサイト:https://www.apk.todabuilding.com/event/20260606/
参加特典:後日発行する「APK PUBLIC Vol.2」記録冊子をプレゼント!
TODA BUILDINGについて

当社は、京橋一丁目で本社建替えを含む大規模開発を進め、2024年9月にTODAビル竣工、2024年11月に開業しました。都市再生特別地区、土地区画整理事業などの開発制度を活用し、建物低層部にミュージアム、ホール&カンファレンス、ギャラリーコンプレックス、ギャラリー&カフェを配した”芸術文化エリア”を形成。高層部はテナント専用ビジネスサポート施設を有するオフィスフロアで構成し、来街者や働く人がアートに出会う場を創出します。
戸田建設のアート事業「ART POWER KYOBASHI」

ART POWER KYOBASHIとは、2024年11月のTODAビル開業とともにはじまった新たなアートプログラムの総称です。当社が東京・京橋で社業をはじめて100年余り、次の100年に向けて、TODAビルの建替を契機に、アートによる新たなまちの価値づくりに取り組んでいます。この場所から様々なアーティストが育ち、発信し、評価され、その仕組みの中でアートが人々の生活の生きる源となる。そんなアートによるまちのエコシステムの構築を目指し、都市を更新し続けるアートの力を育んでいきます。
