2026年7月4日(土)– 8月8日(土)

KOTARO NUKAGA(天王洲)では、2026年7月4日(土)から8月8日(土)まで、NYを拠点に活躍する現代アーティストのニール・ホッドによる個展「Flowers of Memory」を開催します。本展では、油彩とクロームを組み合わせて作り上げた銀色の鏡面のなかに、花々の浮かぶ水辺が立ち上がる〈100 Years Is Not Enough〉シリーズを発表します。
開催概要
会期: 2026年7月4日(土)– 8月8日(土)
開廊時間: 11:30 – 18:00(火 – 土)
※日月祝休廊
オープニングレセプション: 2026年7月4日(土)16:00 – 18:00
※作家本人が在廊します。
会場: KOTARO NUKAGA(天王洲)
〒140-0002 東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F
展覧会の見どころ
(1)鏡面に咲く花——鑑賞者を巻き込む絵画体験

ホッドの絵画は、クロームが生む銀色の鏡面によって、私たちの姿や気配を画面へと招き入れます。絵画は風景の再現を超え、見る者の内部に眠る記憶を呼び起こす「場」として立ち上がり、鑑賞体験そのものを更新します。
本展で展示される〈100 Years Is Not Enough〉は、自然の観察から描かれた風景というよりも、パンデミック期に作家が自然のなかで過ごした時間を背景に生まれた、「生きていることの美しさを受けとめるには百年では足りない」という感覚を核に据えています。

画面に浮かぶ花や水辺の気配は、しばしばモネの《睡蓮》を想起させますが、ホッド作品は古典の再演には留まりません。記憶のなかで一度ほどかれたイメージが、鏡面の反射と多層の操作、そして表面に刻まれた時間の痕跡によって、より曖昧で切実な“見覚えのある未知”として立ち上がってきます。
その根底には、美と崩壊が同じ画面に共存するという、ホッドの主題の一貫性があります。作品は、見る者を惹きつける美しさによって入口を開きながら、同時にどこか不穏で、時間・記憶・喪失といった感情の影を忍び込ませる——その二重性が、初期作から現在のシリーズに至るまで連続する核となっています。
(2)酸とアンモニアが生む、偶発性の美学


〈100 Years Is Not Enough〉は、キャンバスに伝統的な油彩技法で下層を描いたうえで、クロームを重ね、さらに酸やアンモニアなどの化学反応を介して表面を変質させていく工程を重ねることで制作されます。

クローム顔料は高圧のエアガンで塗布され、やがて鏡のような反射面へと変化する一方、ホッドはその層をあえて剥がし、傷つけ、下層を露出させる「破壊」を制作の核に据えます。繊細な拭い取りから荒々しい削り取りまで、制御と偶然のバランスのなかで画面は生成され、光と色彩に複雑な深度が生まれる。絵画が一枚の完成品である以前に、時間と作用が刻まれた“出来事”として立ち上がるプロセスにご注目ください。
(3)国際的評価を築いたキャリアと、ファッションや都市空間へ広がる作品世界

テルアビブ美術館、サラ・ヒルデン美術館での発表や、Art Baselなどの国際的な舞台での紹介を通じ、ホッドは批評と市場の双方で確かな評価を築いてきました。さらにその活動は展示空間にとどまらず、2025年には建築家ピーター・マリノが手がけたDiorのニューヨーク・マンハッタン新旗艦店「House of Dior New York」、2026年5月には大阪の「House of Dior 心斎橋」にコミッション作品が展示されるなど、ラグジュアリーブランドにも高く評価されています。

Nir Hod

1970年 テルアビブ(イスラエル)生まれ。現在はニューヨークを拠点に活動。
ベツァルエル美術デザイン学院在学中に、ニューヨークのクーパー・ユニオン美術学部に留学。 ホッドは彫刻、映像、キャンバスといったさまざまなメディウムを横断し、美しさ、コントラスト、セクシュアリティ、退廃、失われゆく純粋さといった概念の内側や周縁を自由に動きまわる。彼の作品の中心には、人々の中に存在する生々しいアンビバレンスについての物語がある。道楽が罪とされることに疑問を呈し、代わりに好奇心を提案し、別の可能性や、人生よりも大いなるものについて考える時、現実はより美しいものになるのだと、ホッドの作品は伝えている。
2005年、テルアビブ美術館(イスラエル)で個展を開催し、以降もユダヤ人博物館(ニューヨーク)、サラヒルデン美術館(フィンランド)、カスミン(ニューヨーク)、コーン・ギャラリー(ロサンゼルス)など多くの美術館やギャラリーで作品が展示されてきた。「ニューヨーク・タイムズ」、「インタビュー」、「W」、「ELLE」、「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「Tマガジン」、「ニューヨーク・オブザーバー」、「フィナンシャル・タイムズ」等の世界的に重要なメディアで定期的にインタビューが取り上げられている。
