―― ひらく 、女性解放と近代化への扉 ――

2026年初夏、日中友好会館美術館では、約100年前の中国女性に愛されたチャイナドレスに焦点を当てた『心惹かれるチャイナドレス ――100年前のモダン都市に生まれた美の装い』展を開催します。本展では、チャイナドレスコレクションとして名高い「謝黎コレクション」から、1900~1940年代の代表的なドレスを厳選して展示。併せて、纏足(てんそく)の靴や調度品、手刺繍の小物なども紹介します。入館は無料です。

当時の日本社会は「大正浪漫」と呼ばれる時代の空気に包まれ、西洋化の進展とともに、和装と洋装が共存する新たなファッション文化が花開きました。同じ頃、中国でも近代化が進み、政治・経済・文化など多方面において東洋と西洋が激しく交錯し、やがて融合へと向かう時代を迎えます。そうした時代背景のもと、当時のモダン都市・上海で誕生したチャイナドレスは、女性のファッション史における革命的な存在の一つといえます。

「身にまとう・時をひらく」をコンセプトとする本展では、清王朝(1644~1912年)の満洲民族の服装「旗袍(チーパオ)」を起源とするチャイナドレスが、西洋ファッションの影響を受けながら、中国に何千年も受け継がれてきた伝統的な衣裳形式から逸脱し、やがてモダン女性のファッションアイテムへと変化していく過程に注目します。各年代のチャイナドレスを通して、20世紀初頭、中国が封建王朝から近代国家へと移行するなかで生じた、女性の社会的地位の変化や身体的美意識の覚醒など、さまざまな側面における「ひらく」をテーマに掘り下げます。
◎展覧会のみどころ
1.優雅さと華やかさを湛えたアンティーク・チャイナドレスの造形美
本展では、近代中国を代表する女性の装いであるチャイナドレスを一堂に展示します。繊細な刺繍、洗練された色彩、ボディーラインを美しく引き立てるシルエットなど、優雅さと華やかさを併せ持つ造形美を間近に鑑賞できます。各作品に込められた高度な技術と美的感覚は、当時の都市文化の成熟を物語ります。
2. 近代中国のモダン都市文化とともに変化していった女性ファッション
急速な都市化と西洋文化の流入により、近代中国では新しい生活様式が生まれました。チャイナドレスはその象徴的な装いとして発展し、時代ごとに形や素材、装飾を変化させていきます。本展では各年代の作品を通して、モダン文化の広がりとともに変遷した女性ファッションの姿を体感できます。
3. 封建的束縛からの解放がもたらした新しい女性像と美意識
封建王朝から近代国家への移行は、中国女性の生き方や価値観に大きな変化をもたらしました。教育の普及や社会参加の拡大に伴い、女性の身体観や理想像も大きく変化し、自然な身体を尊重する新たな美意識が広がりました。本展では衣服や関連資料を手がかりとして、近代社会のなかで生まれた新しい女性像と美の価値観の転換を読み解きます。
■■ 開催概要 ■■
展覧会名:2026年特別企画展
「心惹かれるチャイナドレス ―― 100年前のモダン都市に生まれた美の装い」
会 期: 2026年5月29日(金) ~ 6月28日(日)
会 場:日中友好会館美術館 (東京都文京区後楽1-5-3)
開館時間:10:00~17:00 (金曜日は20:00まで開館)
休 館 日:月曜日
入 館 料:無料
アクセス:https://jcfcmuseum.jp/access
都営大江戸線「飯田橋」C3出口より徒歩1分
JR総武線「飯田橋」東口 / 地下鉄東西線・有楽町線・南北線「飯田橋」A1出口より徒歩7分
本展URL:https://jcfcmuseum.jp/events/event/2026-01
■■ 展示構成 ■■
本展は年代順に4章で構成し、各時代の特徴を表す作品を通してチャイナドレスの歩みをたどります。
第一章 チャイナドレスの起源 ―― 清王朝満州民族の旗袍 ――
中国女性の象徴として知られるチャイナドレスですが、その姿は古代中国の衣裳とは大きく異なります。本章では1910年代以前の実物資料や絵画・写真を通して、中国古来の衣装形式「上衣下裳(じょういかしょう)」と、直接のルーツである清王朝満洲民族の「旗袍」を紹介します。身分秩序や礼制と結びついた装いの特徴や象徴的意味に注目し、近代におけるチャイナドレス誕生の基盤を探ります。



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第二章 身体的美意識の覚醒 ―― 新型旗袍の誕生 ――
1910~20年代に登場した新型旗袍を展示し、近代化の進展とともに変化した中国女性の姿を紹介します。女子教育の普及と「女性解放」「男女平等」の思想の広がりは、女性たちの社会進出や新しい生き方を促し、服装にも変化をもたらしました。腕や脚の露出が現れ始めるなど、封建的規範と向き合う女性たちの新たな身体観が表れています。



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第三章 モダン都市の流行 ―― 海派チャイナドレス ――
1930年代以降の作品を展示し、モダン都市・上海で流行した「海派(ハイパイ)チャイナドレス」を紹介します。伝統的な平面裁断から西洋的な立体裁断へと変化し、身体の曲線を美しく引き立てる洗練された造形が生まれました。社交の場にふさわしい華やかな装いとして広まり、都市文化と結びついた新しい女性像を象徴します。そのデザインには、当時の生活様式や社会階層のイメージも色濃く反映されています。



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第四章 新たな時代をまとう華 ―― 黄金期のチャイナドレス ――
1940年代の黄金期に制作されたチャイナドレスを紹介します。舶来の新素材の普及により、色彩や質感、文様表現は大きく広がり、社会階層やライフスタイルに応じた多彩な装いが生まれました。象徴性を重んじる伝統的衣装から、個性や装飾性を追求するファッションへと変化していく過程をたどり、当時の女性たちの価値観や美意識の転換を読み解きます。



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【 特 別 展 示 】 Special Exhibition
・「 纏足の靴 」 てんそくのくつ
纏足は女性の足を幼少期から布で縛り小さく変形させる古い風習で、貞淑や身分の象徴とされる一
方、歩行の自由を奪い、強い痛みを伴いました。20世紀初頭、近代化の思想啓蒙と女性解放の機運により廃止されました。本展示では当時の靴を通して、纏足の社会的背景と新しい女性の美意識の芽生えを紹介します。

■■ 関連イベント ■■
1. 特別記念講演
解かれた身体、纏われた都市 ―― オールド上海のチャイナドレス ――

百年前、上海で生まれた「海派チャイナドレス」。その優雅な装いには、時代の息吹と女性たちの新しい生き方が映し出されています。
本講演では、海派チャイナドレスの誕生と発展を紐解きながら、家庭から社会へと歩み出した当時の中国女性たちの暮らしや意識の変化に迫ります。装いの変化は時代の変化そのもの。はじめての方にもわかりやすくお話しします。ぜひご参加ください。
【日 時】6月6日(土) 14:00~15:30
※ 開始1時間前より受付開始、30分前より開場
【会 場】日中友好会館地下1階・大ホール
【講 師】謝黎 先生
※文化人類学専攻、博士(学術) 聖心女子大学兼任講師
【席 数】120席(自由席・事前予約制)
【参加料】無料
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2. 華麗なる百年 ―― 舞台de魅せるチャイナドレス ――

チャイナドレスを身にまとったダンサーや中国伝統楽器の演奏者、モデルが一堂に集結。中国舞踊や日中の名曲とともに、華やかなドレスショーをお届けします。
百年前のモダンな時代へと誘う、メロディーと装いが響き合う特別なステージ。視覚と聴覚で楽しむひとときをぜひご堪能ください ♬
【日 時】6月14日(日) 14:30~15:30
※ 開演1時間前より受付開始、30分前より開場
【会 場】日中友好会館地下1階・大ホール
【出 演】(一社)日中文化交流聯合会
【席 数】150席(自由席・事前予約制)
【参加料】無料
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主 催:公益財団法人日中友好会館
作品提供:謝黎コレクション
後 援:外務省、中華人民共和国駐日本国大使館、文京区、中国文化センター、日本国際貿易促進協会、
(公社)日本中国友好協会、(一財)日本中国文化交流協会、(一社)日中協会、(一財)日中経済協会、
日中友好議員連盟、(一財)日本アジア共同体文化協力機構
