エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026年) Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
「You made me leave my happy home to become someone else anew, in diasporas without origin to be related again this is living and in this waits the joy of one earthly place, hope of eternal intimacy. Intimate in Nature」*と題された本展では、インスタレーションから彫刻、絵画にいたるまで、バネルジーが厳選した19点の作品を通じ、地球規模で行われる人間と物の移動と植民地主義のレガシーというテーマに光を当てます。本展の核となるのは、フォンダシオン ルイ·ヴィトンが公開するのは初めてとなる、コレクションの作品である記念碑的なインスタレーション《In an unnatural storm a world fertile, fragile and desirous, polluted with excess pollination…》(2008年)。フランスの作家ジュール·ヴェルヌの小説『八十日間世界一周』から着想を得た本作は、世界を巡る冒険の旅がもたらす驚異と危うさを表現しています。作品のコンセプト、天井から吊り下げられたドームとそこから降り注ぐオブジェという構造、そして色彩や形状といった造形的な要素──そのすべてが、バネルジーの創作活動の真髄を象徴するものです。本作は、人毛の国際取引とその政治的背景を扱った近作《Black Noodles》(2023年)と共に、コンセプトと造形の両面において本展の方向性を決定付けています。
エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026年) Courtesy of the artist and Perrotin. Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
1995年にイェール大学(コネチカット州)で絵画·版画の修士号を取得したバネルジーは、クイーンズ美術館での画期的な展覧会「Out of India: Contemporary Art of the South Asian Diaspora」(1997年)への参加や、2000年のホイットニー·ビエンナーレ(ニューヨーク)への選出を機に、一躍その名を知られるようになりました。また、母校であるイェール大学芸術大学院では、2022年に新設された「ポストコロニアル·クリティック」の初代を務めるなど、ゲスト·クリティックとして、たびたび招聘されています。過去30年にわたり、バネルジーは米国、欧州、そして近年ではアジアの美術館やギャラリーにおいて、個展や企画展を通じ精力的に作品を発表してきました。エスパス ルイ·ヴィトン東京での本展は、オオタファインアーツでの2度の開催(2013-14年、2017年)に続き、日本における3度目の個展となります。現在、イェール英国美術センター(コネチカット州)にて大型インスタレーション《Take me, take me, take me…to Palace of love》(2013年)が展示されているほか、これまでにサンノゼ美術館(カリフォルニア州)とペンシルベニア美術アカデミー(フィラデルフィア)が共同企画した回顧展『Make Me a Summary of the World』(2018-2019年)や、ギメ東洋美術館(パリ)での個展『Rina Banerjee: Chimaeras of India and the West』(2011年)など、数多くの重要な展覧会を開催しています。