有楽町アートアーバニズムYAUは、リサーチプロジェクト「ぜにがめ下水道リサーチ」の成果発表となる展示「Presentation Vol.1『Holes』」を、YAU CENTER ぜにがめ(東京都千代田区銭瓶町ビルディング 1階ぜにがめプレイス内)にて2026年3月13日より開催しています。会期は3月29日までです。

都市の細部にまで張り巡らされ、生活に欠かせないライフラインでありながら、普段は意識されることの少ない下水道。私たちは1人あたり1日約220Lの水を使用し、その水は約24時間以内に処理されて河川や海へと放流されています。
本プロジェクトでは、アーティストや音楽家、編集者、建築家など多様なバックグラウンドを持つリサーチャーが参加し、東京都下水道局の協力のもとフィールドワークを実施。都市と下水道の関係をそれぞれの視点から観察し、普段は見えない都市インフラの仕組みをリサーチしてきました。
2027年まで継続的に展開されるプロジェクトのなかで、今回の展示のテーマには「観る / Observe」を掲げました。高度な土木技術と科学技術、そして分解者として働く微生物の力によって成立する下水処理システムは、「川」の仕組みを凝縮した人工物とも言えます。本展では、地下に広がる下水道への入り口であるマンホールや排水口など、都市に点在する「穴(Holes)」を手がかりに、リサーチ成果と作品を紹介します。


■展示の見どころ
①渋谷川のパーツで作られた顕微鏡から都市の微生物を観る
展示の中心となるのは、アーティスト石橋友也による作品です。石橋は大学で学んだ生物学を背景に、自然と人為の境界や、人間の技術的営為をテーマに制作を行っています。
本展では、下水を高度処理した「再生水」が放流される渋谷川で、石橋が拾い集めたごみを素材に制作した顕微鏡作品を展示します。来場者はその顕微鏡を通して、下水処理において重要な役割を担う「活性汚泥」と呼ばれる微生物群集を観察することができます。また、顕微鏡で観察した活性汚泥中の微生物の映像が、東京都で実際に使用されていたマンホールに投影された作品もあわせて紹介します。
活性汚泥は、有機物を分解する細菌や原生動物などからなる微生物の集合体で、下水処理の中心的な役割を担っています。人間が設計した都市インフラの内部では、こうした微生物の働きによって水の浄化が支えられています。
石橋の作品は、人間の技術と微生物の生態系が重なり合う都市の水循環を、「観察」という行為を通して体験させるインスタレーションです。



(アーティストコメント)
下水の処理プロセスは、さまざまな技術が非常に高度に組み合わされた都市におけるネットワークです。非常に人工的なものであると同時に、川の機能を凝縮したものとも言えて、その中心を担うのが人類誕生前から地球上に存在する「微生物(活性汚泥)」であることは、自然と人間の相互補完的な関係を象徴するようなものだと感じました。
※1月22日のリサーチ共有会より
石橋 友也 Tomoya Ishibashi
1990年、埼玉県生まれ。生物学をバックグラウンドに持ち、自然と人為、技術と芸術の境界への関心に基づく制作を行う。主な作品に、キンギョを祖先のフナに逆品種改良することを試みる『金魚解放運動』(2012-2017)、川で拾ったゴミや自然物で顕微鏡をつくり、川の水を観察する《Self-reference Microscope》(2025)など。2012年より早稲田大学生命美学プラットフォーム「metaPhorest」に所属。IAMAS(情報科学芸術大学院大学)博士後期課程在学中。近年参加した主な展示に「センシング・ストリームズ〜生きものとともに」(2025, 東京日仏学院)、「 IAMAS ARTIST FILE #10 繭/COCOON:技術から思考するエコロジー」、 「遍在、不死、メタモルフォーゼ」(2024, 京都・瑞雲庵)など。https://www.shibashiishibashi.com/
②フィールドワークのプロセスを追体験するリサーチ展示
会場では、リサーチチームが行ったフィールドワークの記録も展示されています。
2025年10月から2026年2月にかけて、有明水再生センター、銭瓶町ポンプ所、砂町水再生センター(東部スラッジプラント)、虹の下水道館などを訪問し、下水処理の仕組みや微生物の観察を実施しました。 リサーチメンバーが残した観察メモや問いを展示することで、来場者は都市インフラを調査していくプロセスを追体験することができます。
ぜにがめ下水道リサーチチーム:
西山萌(編集者)、風景と食設計室 ホー(アーティスト)、三野新(写真家・舞台作家)、梅原徹(音楽家・美術家)、石黒昌平(建築家)、大久保敏之(空間デザイナー)、宮本桃子(空間プランナー)、山本賢(ファシリテーター)、森純平(建築家)、栗田結夏(アートコーディネーター)、兒玉真太郎(地域研究)、中森葉月(三菱地所 YAU担当)、他。*順不同



③都市研究としてのアートプロジェクト
「ぜにがめ下水道リサーチ」は、都市インフラをテーマにアートとリサーチを横断しながら都市の構造を読み解く試みです。
下水道は、人間の活動が自然の浄化能力を上回ったことで生まれたインフラですが、その処理の中心には人類以前から存在していた微生物がいます。人間の技術と自然の力が重なり合うこのシステムは、都市と自然の関係を象徴する存在とも言えます。 本展は、都市を支える見えない基盤を、アートと観察の視点から捉え直す都市研究型プロジェクトの成果発表となります。
■会場「YAU CENTER ぜにがめ」とは
展示会場となるYAU CENTER ぜにがめは、丸の内エリアなどで発生した汚水を水再生センターへ送水する重要なインフラである銭瓶町ポンプ所の上階に位置する「ぜにがめプレイス」に2025年に開設された「有楽町アートアーバニズムYAU」の拠点のひとつです。都市の日常に寄り添いながら、アーティストの創作プロセスを都市にひらき、段階的に展開していく活動拠点として運営されています。
「有楽町アートアーバニズムYAU」の詳細はこちら。
ぜにがめ下水道リサーチ
Presentation Vol.1「Holes」
https://arturbanism.jp/project/zenigame-research2025/
会期:2026年3月13日(金)– 3月29日(日)
開館時間:12:00–19:00 休館日:月・火曜
会場:YAU CENTER ぜにがめ(東京都千代田区大手町2-6-3 銭瓶町ビルディング1階)
入場:無料
主催:有楽町アートアーバニズムYAU
特別協力:有楽町藝大キャンパス、東京藝術大学 芸術未来研究場
リサーチ協力:東京都下水道局
◉関連イベント
トーク&フィールドワーク(街歩き)
「下水道と暗渠(あんきょ)、見えない水のネットワークを見る/歩く」
川や暗渠(あんきょ)を研究する本田創をゲストに迎え、本展の出展作家である石橋友也(アーティスト)とともに、「川と水と人間」をテーマとして、トークおよびフィールドワーク(街歩き)イベントを開催します。
「川」のシステムを凝縮した人工物ともいえる下水道をリサーチした石橋友也の作品を発端に、都市の変容とともに変化してきた、川と水と人間のかかわりについて対談を行います。その後、本田創による銭瓶町周辺の「見えない川」である暗渠を巡り、歴史を探るフィールドワークを実施します。
■開催概要
日時:3月20日(金・祝) 13:00〜15:00
13:00〜13:40 レクチャー+トーク
14:00〜15:00 本田さんとフィールドワーク
会場:神田川周辺、YAU CENTER ぜにがめ ほか
定員: 約15名
参加費:1,000円
■お申し込み
下記Peatixページよりお申し込みください。
https://gesui-event2026.peatix.com
※3月19日(木)17:00締切。
※お申し込みは先着順です。
※雨天の場合、トークのみの短縮版で実施いたします。
※集合場所等については、お申し込みいただいた方へ、事前メールにてお伝えいたします。
※イベント風景を写真・映像に記録し、広報などの目的で使用する場合がございます。あらかじめご了承ください。
