会期:2025年12月18日(木)~12月24日(水) 営業時間:10:30~20:30(最終日は18時閉場)
大丸松坂屋百貨店がGINZA SIX 5階で運営するアートギャラリー「Artglorieux GALLERY OF TOKYO (アール グロリュー ギャラリーオブトーキョー)」にて、伝統的な日本画の技と素材を基盤にしながら、現代の視覚と精神を通して絵画の新たな可能性を探る六名の作家(因幡都頼、カナイミユ、鈴木康太、外山諒、中西瑛理香、和田宙土)による展覧会「新しい日本画 – Japanese Modern -」を開催いたします。
日本画という言葉は、単なる技法の継承ではなく、自然や時間、存在への感応を媒介とした思考の形式を意味します。本展に出品する作家たちは、それぞれの感性からその形式を解体し、再構築することで、絵画が「いま」をどのように生きうるのかを探求しています。
会期:2025年12月18日(木)~12月24日(水)
営業時間:10:30~20:30(最終日は18時閉場)

本展に出品する六名の作家ー因幡都頼は、俯瞰的構図による都市と記憶の再構成を通じて、現代の情報的視覚を日本画に結びつけています。カナイミユは、身体と記憶の断片を柔らかな線と色で編み、個人の内面を普遍的な情感へと昇華させています。 鈴木康太は、デジタルの偶発性を岩絵具や箔の質感に転写し、情報と物質、記号と手仕事の関係を可視化しています。外山諒は、光と空気の層を丁寧に重ねることで、時間の流れや感覚の余韻を絵肌の中に留めています。中西瑛理香は、動植物の儚さを象徴的に描き、素材と生命の呼応を静謐に表現しています。和田宙土は、抽象的構成と色面の響きを通じて、日本画が内包してきた形式美と空間意識を現代的に再定義しています。
六名の表現は多様でありながら、共通して「伝統と現代のあわい」に立っています。素材の持つ記憶を尊びつつ、その内側から現代的な意識を立ち上げること――そこに「新しい日本画」の核心があります。彼らの作品は、過去を否定することなく、未来を模倣することもなく、その間に生まれる緊張と静寂を見つめています。作品の前に立つとき、鑑賞者は絵画を単なる視覚体験としてではなく、時間と感覚の対話として感じ取ることでしょう。






プロフィール
■因幡都頼
歴史に残るおとぎ話や伝承は、実際の出来事が時代や文化を通して姿を変えたものであり、そこには、当時の人々が感じていた現実や世界認識が、かたちを変えて息づいている。不思議な出来事も、悲しい事件も、因幡が目撃し記録したものは、誰かにとっては作り話であり、時に喜劇として受け取られるかもしれない。その揺らぎは、イメージと言葉が交わる表現の中で、現実と幻想の境界を溶かし、解釈の「余白」を生み出している。因幡は、時代ごとに変わる「リアル」を記録しながらも、それが他者によって自由に読み替えられる余地を作品に組み込むことを意識している。「時間」「視点」「物語」が交わる場所を立ち上げ、見る者の中で、少しずつ意味がずれていくこと。その曖昧さや重なりこそが、彼の作品の根にあるものである。
1988年 北海道生まれ
2012年 武蔵野美術大学 日本画学科卒業
2023年 武蔵野美術大学 日本画学科非常勤講師
主な個展
2023年 「広すぎて、狭すぎて」 gallery MONMA(札幌)
2024年 「うやむやな撮れ高」 +DA.YO.NE.GALLERY(東京)
受賞歴
2017年 「第20回岡本太郎現代芸術賞」入選(川崎市岡本太郎美術館)
■カナイミユ
日々の中には、言葉ではすくいきれない「ざらつき」がある。
人間の感情が生む揺らぎや不安定さは、社会の中で求められる効率性や整合性の中で、いつの間にか見過ごされ、削ぎ落とされていく。
私の作品は、そうした「ざらつき」=「ノイズ」に目を向けている。木版画の制作過程で生まれる版のズレ、かすれ、汚れなど、本来は「失敗」とされる偶発的な痕跡を、人間的な誤差として受け入れ、記録する試みである。
1999年 生まれ
2025年 東京藝術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業
2025年 東京藝術大学大学院 美術研究科絵画専攻版画研究分野修士課程在籍
主な個展・グループ展
2024年 「反復する記憶」 Gallery美の舎(東京)
2025年 「俵賞展」 東京藝術大学YUGA Gallery(東京)
受賞歴
2023年 「Gallery美の舎学生選抜展」奨励賞(Gallery美の舎)
2024年 「第42回上野の森美術館大賞展」入選(上野の森美術館)
■鈴木康太
初めにパソコンで絵を描き、デジタルデータの画像を一度作成する。その際、ある画像データを一度テキストデータに変換し、内容を書き換えることで作成した「バグ」をモチーフの一部として用いている。「バグ」は自身の意図とは無関係な情報の破損として表出し、画面に偶然性をもたらす。作成したデジタルデータをもとに現実の絵画に移行していく。素材には、箔や岩絵具を用いることで無機質な画像データに物質感を持たせている。この移行プロセスは、データの世界と現実世界を行き来するようなものだ。スマートフォンやコンピューターで長時間作業した後、ふと画面から視界をずらすと現実に引き戻されるような感覚に似ている。
1993年 静岡県生まれ
2017年 多摩美術大学 美術学部絵画学科日本画専攻卒業
2019年 多摩美術大学大学院 前期博士課程日本画研究領域修了
主な個展
2022年 「biscuit gallery group exhibition「re」」 biscuit gallery(東京)
2023年 「ninecolors」 阪急うめだ本店アートステージ(大阪)
2024年 「ninecolors」 阪急うめだ本店アートステージ(大阪)
■外山諒
この世に生まれた生命は全て世界を構成する要因である。それらが生きることによって他の生命に必ず影響を与え、その影響は未来の生命へと伝わっていく。
今この瞬間を生きている命(魂)が影響を与え合う様子を蝶などの生物を通し表現している。
1994年 愛知県生まれ
2017年 愛知県立芸術大学 日本画専攻卒業
主な個展
2020年 個展 新生堂(東京)
2022年 個展 GINZA SIX(東京)
2023年 個展 阪急うめだ本店(大阪)
受賞歴
2016年 「Seed 山種美術館 日本画アワード 2016」審査員奨励賞
2019年 「Seed 山種美術館 日本画アワード 2019」奨励賞
■中西瑛理香
現在希少となった動植物をテーマに、古典的な技法を基盤としながら、主観的なデフォルメや現代的な要素を融合させた表現を探求している。自然や生命への深い敬意を出発点とし、日本古来の美意識である「間」や「感じ取る」ことを重視。空白や余白は鑑賞者の想像を促し、さらに作中の生命の存在感を際立たせることで、見る人との対話を生み出す。希少動植物の現状には人間活動がもたらした多くの課題が含まれている。作品を通じて環境への気づきを喚起し、日本の精神文化と現代の視点を交差させながら、新たな発見の機会を提示することを目指している。
1988年 生まれ
2016年 武蔵野美術大学大学院 造形研究科美術専攻日本画コース修了
主な個展
2017年 「中西瑛理香個展 遠ざかる海」 コート・ギャラリー国立(東京)
2024年 「REC point」 Anicoremix Gallery(オンライン個展)
受賞歴
2012年 「第48回神奈川県美術展」平面立体奨励賞受賞
2014年 「武蔵野美術大学日本画学科卒業制作」優秀賞受賞
■和田宙土
“縺れ”をテーマに現代日本画を制作している。モチーフは水中に落とした墨の模様で、その模様が人間の形に見えた瞬間を撮影し、写真をもとに手描きで再構築した。人に見える瞬間は一瞬であり、次の瞬間にはただの淀みに変わり、やがて水中全体も透明から灰色一色となる。この一連の動きに、オーソドックスな絵画で表現すべきものを感じた。鮮やかな赤は生命の色であり、死の色である黒と白に挟まれてこそ鮮やかに輝く、そのように考えている。
1992年 東京生まれ
2017年 東京藝術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業
2022年 東京藝術大学 美術研究科日本画専攻博士号取得
受賞歴
「平成芸術賞」受賞
「第7回豊橋トリエンナーレ」入選
「第8回豊橋トリエンナーレ」入選
「第28回臥龍桜日本画大賞展」入選
「第40回上野の森美術館大賞展」入選
■展示概要
新しい日本画 -Japanese Modern –
会期:2025年12月18日(木)〜12月24日(水)
営業時間:10:30~20:30 ※最終日は18:00閉場
会場:Artglorieux GALLERY OF TOKYO
東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 5階
入場料:無料
Artglorieux GALLERY OF TOKYOについて
Artglorieux GALLERY OF TOKYOは、株式会社大丸松坂屋百貨店が運営するギャラリーです。
※詳細はHPにて順次掲載します。ご確認くださいませ。
※イベントや展示内容は諸般の事情により変更・中止となる場合があります。
