日曜日, 10月 12, 2025
ホームイベントCACL、ロバート キャンベル氏を通じて、戦時下のウクライナで活躍するアーティストや主要アート施設へ“HASHI STAND”と金継ぎ作品を贈呈

CACL、ロバート キャンベル氏を通じて、戦時下のウクライナで活躍するアーティストや主要アート施設へ“HASHI STAND”と金継ぎ作品を贈呈

廃棄される可能性のある伝統工芸品や規格外品に新たな価値を見出す活動「Rediscover project」を運営するCACL(本社:石川県能美市、代表取締役:奥山純一)は、この夏、戦時下におけるアート活動やアーティストの動向をリサーチする目的で約3週間ウクライナの複数都市を訪れたロバート キャンベル氏に、購入いただいた“HASHI STAND”40セットと寄贈用の金継ぎ作品を託し、戦時下のウクライナで活躍するアーティストや主要アート施設へ贈呈いただきました。

“HASHI STAND”は、ウクライナの国旗カラーでもある青色と黄色の九谷焼の陶磁器片を透明なレジンで固めた特別仕様で、現地のアーティストらに配布され、「連帯とレジリアンスの印に心が震えた」など、大変嬉しいお言葉をいただきました。

金継ぎされた作品は、現地のアートシーンに欠かせない3つの施設へ寄贈されました。一カ所目は、西部リヴィウにある負傷した人々の総合リハビリ施設である「UNBROKEN」。アートセラピーも行われているこの施設で、リヴィウ市の主任建築士(チーフアーキテクト)であるAnton Kolomieitsev氏にアートを寄贈しました。Anton氏は「連帯を表現したこの美しい器を、患者やスタッフ全員が見られる展示方法を早速検討したい」とおっしゃってくださいました。

(左)「unbroken」にて、主任建築士のAnton Kolomieitsev氏 (右)贈呈された作品

もうひとつの場所は、ウクライナ東部における現代アートの中心であり、戦争中もアート活動の拠点となっているシェルター兼展示施設の「Yermilov Center(イェルミロヴ・センター)」。所長であるNatalia Ivanova氏に1枚のプレートを贈呈したところ大変喜んでいただき、日本とのコラボレーションをぜひ検討したいとおっしゃっていただきました。

(左)「Yermilov Center」にて、所長のNatalia Ivanov氏 (右)贈呈された作品

最後は首都キーウにある「ウクライナ国立美術館」。ソ連時代の粛清によって大勢処刑されたアーティストの作品を密かに収蔵し続けた場所でもあります。美術館のジェネラル・ディレクターであるYulia Lytvynets氏は、寄贈したプレートをコレクションとして収蔵し、必ず展示に使いたいとおっしゃいました。

(左)「ウクライナ国立美術館」にて、ジェネラル・ディレクターのYuliia Lytvynets氏 (右)贈呈された作品

さらにキーウ在住の写真家・マルチメディアアーティストVera Blansh氏の協力のもと、爆撃を受けた市内の集合住宅を訪れ、爆発によって破壊された食器の破片を回収し、キャンベル氏にその破片を日本に持ち帰ってもらえるよう託しました。

現地滞在を経て、キャンベル氏は今後について、以下のようなコメントを寄せてくださいました。

「戦争が続くウクライナでは建物やインフラだけではなく、多くの人々は体も心も傷ついています。傷つきながらも決して壊れない = Unbrokenであり続けるためには様々な支えが必要ですが、なかでも今注目されているのはアートの力です。心身のリハビリ現場から破壊が進む都市部の景観、子供たちが学ぶ空間にまでアートは時代の証言、記録、そして生きた人々が繋がり合う大切な装置として活用されています。能登半島の地震で傷ついた器のかけらたちが美しく再生した色と形を手にした時、ウクライナの人々は多くの説明を必要とせず、直感的に理解を示し感動してくれました。災厄を通して灯った心の交流を、今後ともCACL社と被災地の方々と共に育んでいきたいと強く願っています」

今後もキャンベル氏との協働を通して、戦争によって生まれてしまったこの破片と、震災によって生まれた能登の陶磁器片を掛け合わせ、国境を超えたふたつの地域の連帯の象徴となるようなさらなる表現活動によるコラボレーションを検討していきたいと考えています。

(左)爆発によって破壊された食器の破片 (右)「かけら交換」に協力いただいた、写真家・マルチメディアのアーティストVera Blansh氏

CACL・奥山純一代表よりコメント

キャンベルさんから以前より戦時中のウクライナの状況について聞いており、何かできることはないかと模索するなかで自分たちの活動との接点に気がつきました。ウクライナは戦争という不条理な環境にあり、今も生死の狭間で生活をされている。能登でも震災の復興には時間を要する状況であり、そんな環境下にある陶磁器片を交換することで、双方にとって意味のある活動になるような予感がしました。キャンベルさんが持ち帰った割れたコップやお皿には泥や砂などが付着しており、着弾の直前までそこで暮らしていた人の面影を感じます。しばらくはこれらと共に過ごし、向き合い、どのような表現にしていくのかを考えたいと思います。そして、いつかはウクライナの作家と石川県の作家の交流が生まれ、影響し合うような関係性を築いていけたらと思います。

CACLについて

株式会社CACL(カクル)は、九⾕焼がさかんな⽯川県能美市に拠点を置く企業です。伝統工芸を継承する人手の不足と、障がいのある人の働く選択肢の狭さや低賃金という2つの課題を掛け合わせ、解決するための事業を展開。これまで、陶磁器片をつなぎ合わせたアートピースやプロダクトの制作を行ってまいりました。2024年の能登半島地震をきっかけに「Stand with NOTO」プロジェクトを立ち上げ、復興支援の一環として、輪島塗の職人の仮設工房の設置と仕事創出に取り組んだのち、九谷焼の陶磁器片に珠洲焼片や輪島塗の技術などを加えて、それに代わるより進化したアートプロジェクト「Rediscover project」を始動。能登半島地震で破損した陶磁器片からアート作品をつくり、金沢21世紀美術館「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」に出展いたしました。今年7月には廃棄される可能性のある伝統工芸品や規格外のものの新しい価値を再定義すべく、陶磁器片などを用いたプロダクトやマテリアルの探求・制作をするための実験的なブランドとして「KAKERA」を設立。パルファム ジバンシイとのコラボレーションを実施したほか、LIXIL、永山祐子建築設計との3社で能登の伝統的風景を未来へと継承していく共同プロジェクトを発足しています。

会社概要

社名:株式会社CACL
公式サイト:https://cacl.jp/
所在地:〒923-1245 石川県能美市辰口町リ56番地
代表者:奥山純一
設立:令和5年6月1日
Tel:0761-48-8004

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