「諏訪敦|きみはうつくしい」関連イベント。最新作「汀にて」から諏訪敦の現在地を読み解く
寺田倉庫株式会社(東京都品川区 代表取締役社長:寺田航平)が運営する現代アートと建築のミュージアム「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」は、10月13日(月・祝)にトークイベント「『汀にて』が問いかけるもの〜流れていくモノとしての絵画〜」を開催いたします。本企画は、現在開催中の展覧会「諏訪敦|きみはうつくしい」に関連したプログラムです。

「諏訪敦|きみはうつくしい」は、諏訪敦にとって約3年ぶりとなる大規模な個展です。新作の静物画や肖像画を含む約80点を展示し、現在に至るまでの制作活動の変遷を多角的に紹介しています。本トークイベントでは、西洋美術に精通する評論家・山田五郎をゲストに迎え、最新作「汀にて」を手がかりに展覧会の魅力を掘り下げます。
諏訪は、美術史や技法・材料の研究にとどまらず、歴史学、民俗学、臨床医学など多様な分野を作品に取り入れてきました。徹底した取材を通して、亡くなった人物や不可視の存在を描く、リサーチプロジェクト型の絵画制作が高く評価されています。しかし、コロナ禍で取材が難しくなり、また母の介護をする日々を送るなかで、「人間を描きたいという気持ちを徐々に失っていった」と語ります。こうした日々を経て制作されたのが、最新の大型絵画「汀にて」です。アトリエに眠っていた古い骨格標本、プラスター、外壁充填材などを組み合わせて人型(ひとがた)をブリコラージュし、その姿を描いた本作は、人体の逆再生ともいえるプロセスを通して、作家が生と死の汀を見つめた経験を物語るようです。
一方の⼭⽥は、2024年に病を公表して以降、治療しながら活動を続けています。芸術文化は、人類が悲しみや痛みに向き合ってきた経験の集積と捉えることもできます。これまで家族や友人など亡き人々を描き、最新作では自身の喪失を見つめた諏訪の絵画群を、山田はどのように読み解くでしょうか。
生と死という人の営みを見つめる作家の視線は、作品そのものが長い時間でどう受け継がれていくのか、という問いへとつながります。両氏には「蒐集家」としての共通点があり、山田は鉱物や髑髏、時計など、諏訪は制作の過程でさまざまなものを集めてきました。単身世帯の増加や超少子高齢化によって社会的つながりが希薄化していくなか、人々が生涯をかけて蒐集した絵画などのモノはどこへたどり着くのでしょうか。
かねてより親交を深めてきた2人の対話を通じて、本展覧会を多角的な視点から読み解く機会を提供します。


【開催概要】
タイトル:「汀にて」が問いかけるもの〜流れていくモノとしての絵画〜
日時:2025年10月13日(月・祝)15:00〜16:00
登壇者:山田五郎、諏訪敦、宮本武典(モデレーター)※敬称略
参加費:無料(但し、別途入場料が必要)*
定員:40名(事前申込制・先着順)
会場:WHAT MUSEUM(〒140-0002 東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫G号)
主催:WHAT MUSEUM
公式サイト:https://what.warehouseofart.org/events/youarebeautiful_talk2
*チケットサイトにて、「『汀にて』が問いかけるもの~流れていくモノとしての絵画~」付きチケット(「諏訪敦|きみはうつくしい」入場料+建築倉庫入場料 2,000円)の購入が必要です。詳細は公式サイトをご確認ください
【山田五郎(やまだ ごろう)プロフィール】
評論家。1958年12月5日、東京都生まれ。上智大学文学部卒業後、講談社に入社し、「Hot-Dog PRESS」編集長などを経て2004年に独立。美術・時計・街づくりに関する執筆・講演活動を続け、「出没!アド街ック天国」(テレビ東京系)はじめTV番組にも出演。美術を解説するYouTube「山田五郎 オトナの教養講座」はチャンネル登録者数73万人(2025年9月現在)。著書に「めちゃくちゃわかるよ!印象派」(ダイヤモンド社)、「闇の西洋絵画史」全10巻(創元社)、「機械式時計大全」(講談社)など。

【諏訪敦(すわ あつし)プロフィール】
画家。1967年、北海道生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。1994年に文化庁芸術家派遣在外研修員としてスペインに滞在。1995年にスペインの第5回バルセロ財団主催 国際絵画コンクールにて大賞受賞。2018年より武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。主な展覧会に「諏訪敦絵画作品展 どうせなにもみえない」(諏訪市美術館、2011年)、「諏訪敦 HARBIN 1945 WINTER」(成山画廊、2016年)、「諏訪敦 眼窩裏の火事」(府中市美術館、2022年)ほか。

【宮本武典(みやもと たけのり)プロフィール】
キュレーター。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻准教授。アーツ前橋チーフキュレーター。1974年奈良生まれ。キュレーションした主な展覧会に「石川直樹 異人 the stranger」(2012)、「隈研吾 石と木の超建築」(2020)、「new born 荒井良二」(2023~)、「山縣良和 ここに いても いい」(2024)などがある。現在、アーツ前橋で2026年1月開幕の「向井山朋子 Act of Fire」をキュレーション中。「山形ビエンナーレ」など芸術祭の立ち上げも手がけており、前橋国際芸術祭2026プログラムディレクターに就任。

【「諏訪敦|きみはうつくしい」について】
現代日本の絵画におけるリアリズムを牽引する画家、諏訪敦。卓越した描画技術で対象に肉薄する諏訪の作品は、徹底した取材に裏付けられ、近年では戦争で亡くなった人々や、神話や古典文学の登場人物など、不可視な存在を描くリサーチプロジェクト型の絵画制作が高く評価されています。本展は、最新の大型絵画「汀にて」を中心に、そこに至るまでの画家のクロニクルを、過去の主な作品群とともに物語っていきます。
コロナ禍にはじまったアトリエでの内省と孤立、戦争や災害で揺らぐ外界をよそに、母を介護し看取るまでの静かな日々の中で、「人間を描きたいという気持ちを徐々に失っていった」と語る諏訪。本展は、稀代の肖像画家が再び人間を描けるようになるまでの克服の過程を開示するドキュメンタリーであり、精緻な眼と指を持つ故に「見ること、描くこと」を己に厳しく問い続けてきた諏訪の、現在進行形の思索と創造を紹介する展覧会です。
公式サイト:https://what.warehouseofart.org/exhibitions/suwa-atsushi

【WHAT MUSEUMについて】 https://what.warehouseofart.org
寺田倉庫が運営する「WHAT MUSEUM」は、倉庫空間を現代アートや建築との出会いの場へと昇華させた、倉庫会社ならではのミュージアムです。倉庫内で静かに光を放つ文化的価値を暗示した、WHAT(WareHouse of Art Terrada)の名のもとに展示されるのは、平面や立体のアート作品をはじめ、建築模型、写真、映像、文学、インスタレーションの数々。寺田倉庫が作家やコレクターからお預かりしている作品も紹介することで、作品の保管、展示、交流の場を繋ぎます。さらに、天王洲という国際的なアートシティのハブとして、地域のアートコミュニティの核となり、倉庫空間から世界へ芸術文化を発信しています。
【寺田倉庫について】
社名:寺田倉庫株式会社(Warehouse TERRADA)
代表者:代表取締役社長 寺田航平
所在地:〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10
設立:1950年10月
天王洲アートポータルサイト:https://warehouseofart.org

【本イベントに関するお問い合わせ先】
WHAT MUSEUM E-MAIL:info.what@terrada.co.jp