金曜日, 6月 20, 2025
ホームイベント居住人口500名未満の村にアーティスト・クリエイターが短期移住!?「Katsurao Collective(カツラオコレクティブ)」2025 プログラムが始動

居住人口500名未満の村にアーティスト・クリエイターが短期移住!?「Katsurao Collective(カツラオコレクティブ)」2025 プログラムが始動

福島県双葉郡葛尾(かつらお)村に、現代アート作家やプロダクトデザイナーなど、多様なクリエイティブ人材が滞在。活動報告やワークショップを村内外で展開し、原子力災害の被災地から新たな価値を創出します。

葛尾村の名産「メルティーシープ」の羊毛を使ったワークショップの模様。地域に眠る素材を活かし、体験を村内外の人々と共有する。講師は吉田麻子(中央手前)

一般社団法人葛力創造舎(かつりょくそうぞうしゃ/福島県双葉郡葛尾村、代表理事:下枝浩徳)内のアートプロジェクト実施チーム「Katsurao Collective」は、本年度も葛尾村から委託を受け、現代アートの滞在制作事業「Katsurao AIR」(カツラオエアー)ならびにワークショップ事業「かつらお企画室」を実施いたします。4年目となる本年度も引き続き、6月から11月にかけてアーティストやクリエイターを短期移住者として葛尾村に迎え入れ、地域の文化や自然環境、住民の暮らしと積極的に関わり活動を展開することで、地域の新たな魅力を発掘・発信します。

地域でのアートプロジェクトが各地で展開されている昨今において、2011年の原子力災害でおよそ5年間全村避難を経験した福島県浜通り地域の山村・葛尾村で実施している本プロジェクトでは、日本全国でも指折りの大規模なアーティスト・イン・レジデンス事業および、地域の素材を扱うワークショップ事業に取り組み続けています。

アーティスト・イン・レジデンス「Katsurao AIR」

アーティスト・イン・レジデンス(Artist-In-Residence 略称:AIR)とは、アーティストやクリエイターがある一定の期間において普段とは異なる土地に滞在し、リサーチや制作を行うプログラムのことをいいます。アーティスト支援や文化交流などが主たる目的とされることが多い中、葛尾村で実施している「Katsurao AIR」(カツラオエアー)では、新たな地域資源の発掘・発信に主眼を置いています。滞在作家を葛尾村への「短期移住者」として捉え、地域住民や自然・文化環境との対話・協働に焦点を当て、制作のプロセスを発信することによって、ローカルから多様な洞察をもたらします。

滞在期間の最後には、葛尾村内で活動報告会を実施し、作品やリサーチの成果物などを公開しています。アーティストから直接話を聞くことができるほか、それぞれの取り組み内容によって、パフォーマンスやトークイベントなどが行われることもあります。詳細情報は随時、Katsurao Collective 公式ウェブサイトで発信いたします。

2023年度「Katsurao AIR」の活動報告会にて。滞在アーティスト杉浦藍(右)と地域住民が作品を前に言葉を交わす
2024年度「Katsurao AIR」の活動報告会期中に行われた、滞在アーティスト鮫島弓起雄(後列右から3人目)による地域の伝統芸能に焦点を当てたパフォーマンスの模様

Katsurao AIR 2025 Summer

6~7月の2カ月間は Katsurao AIR 2025 Summer と題し、人々の思い出や民話などに関心を寄せ、その現代的なあり方について研究・制作を行っている内田聖良、数々の土地や人と共鳴し新たなプロダクトを生み出してきたデザイナーのくもそらと、自身の移住経験を起点に活動を構想する福島県出身・沖縄県在住の丹治りえの3名を迎え、村内での活動がスタートしています。2025年7月24日(木)~27日(日)に活動報告会を開催します。

Katsurao AIR 2025 Group & Family Program

8月には、単身でのアーティスト・イン・レジデンス プログラムへの参加が難しい、グループや家族連れのアーティスト・クリエイターを対象とした Group & Family Program を実施いたします。前半は、渡辺望がファミリーで滞在し、子どもの自由な創造性に着目した活動を試みます。後半は、映像作家の山下つぼみ北川未来、音楽家の中野徳子、アーティストのサノタコ、小学1年生の丹治賛によるグループプロジェクト Roaming Buffalo が、葛尾村を舞台に「故郷とは何か?」を探求します。それぞれ、8月16日(土)および30日(土)に活動報告会を開催します。

Katsurao AIR 2025 Youth Program

9月は Youth Program 期間として、若手アーティスト4名を迎えます。物体の認識に対して疑問を投げかける彫刻専攻の齊藤美帆は、放射線モニタリングポストとそれに「見慣れる」ということに関心を寄せています。大阪・藤井寺市で地域に開かれたアートスペースを運営している下浦萌香は、葛尾村でも地域住民や来訪者との対話を通して、地域の文化や記憶を可視化するプランを計画しています。2024年度にはじめて葛尾村で滞在制作を行った杉山仁彦は、葛尾村の土を用いて行う陶芸のプロジェクトをより深めます。松本実季は、葛尾村の風土や暮らしに焦点を当て、そこに身を置くことではじめて得られる感覚を起点として制作に向かいます。Youth Programの活動報告会は2025年9月20日(土)~23日(火・祝)に開催予定です。21日(日)にはワークショップ「かつらお企画室」を同時開催いたします。

Katsurao AIR 2025 Autumn

10月から11月上旬にかけては、Katsurao AIR 2025 Autumn として、葛尾村の女性たちの役割やアイデンティティに関心を寄せる伊藤夏美、「光」を主題として絵画作品などを制作しているフランス在住の犬丸暁、人間が生き物として生きるということを見つめながら、動物をモチーフとして制作活動を行っているかねこもえの3名を迎えます。活動報告会は、2025年10月31日(金)~11月3日(月・祝)の4日間。11月3日(月・祝)は葛尾村の恒例行事「かつらお恵みの感謝祭」との同時開催となります。

それぞれのアーティスト・クリエイターの活動は、地域でのリサーチや生活のなかで軌道修正や変更がなされる可能性を多分に含んでいます。アーティスト・クリエイターが短期移住者として実際に地域に暮らしながら生まれるクリエイティブを体感しに、ぜひ活動報告会に足をお運びください。また、各種SNSやポッドキャストにて、活動の途中経過をリアルタイムに発信いたします。

各アーティスト・クリエイターの詳細情報はこちらをご覧ください。

9月までの活動報告会のご案内フライヤー

ワークショップ「かつらお企画室」

「かつらお企画室」は、葛尾村の日常の中にある魅力を再発見することをテーマとして、参加者と一緒に手を動かしてつくる喜びを共有する機会を提供します。現代アートのアーティストのほか、ローカルな素材を扱う手仕事の職人や、地元の達人を講師として迎えます。ホンモノの学びの機会として、お子様連れでの参加もおすすめです。

2024年度に実施した片岡美菜(右)によるレザークラフト体験ワークショップ。普段は体験できない皮なめしの前工程「剪打ち(せんうち)」を行い、素材のリアルを身体で感じた
2025年9月21日(日)に実施する「葛尾村のガラスをつなぐ、キャンドルホルダーづくり」のイメージビジュアル。昭和ガラスをインテリアに蘇らせる

6月15日(日)には、葛尾村にて「テキスタイルアート体験 〜絨毯技法でアクセサリー、ミニ絨毯作り〜」と題し、葛尾村に立地しているニット工場の残糸を活用したワークショップを開催いたしました。講師の近あづきは、現代美術のアーティストであるとともに、横浜・黄金町にてあみもの教室を主宰しています。11月(日程未定)の横浜での出張ワークショップでも講師として、葛尾村の素材を使ってものづくりを楽しむ機会を提供します。

6月29日(日)は、東京のギャラリースペース「神楽坂WM」にて、吉田麻子による出張ワークショップ「羊の毛を織ろう!作ろう!マイチャーム」を開催予定です。葛尾村の名産「メルティーシープ」の羊毛を使って、手ざわりを楽しみながら一点もののアイテムを制作します(事前申込要:6月23日(月)まで)。

9月21日(日)には、Katsurao AIR 2025 Youth Programの活動報告会と同時開催として、福島県郡山市で大正三年創業の伏見屋ガラス店を営む三保谷泰輔・三保谷未柚を講師に迎え、「葛尾村のガラスをつなぐ、キャンドルホルダーづくり」を実施します。葛尾村の元建具屋に眠っていた昭和ガラスを美しく現代に蘇らせるワークショップです(事前申込要:8月頃から開始)。

10月11日(土)、11月3日(月・祝)の2回にわたっては、陶芸家の須藤圭太・須藤智子による、葛尾村の土を使った陶芸体験ワークショップを葛尾村内で開催いたします。また、10月25日(土)には、福島県西会津町でバッグブランド「ZICA(ジカ)」を立ち上げたかばん職人の片岡美菜が、貴重な前工程体験を含む本格的なレザークラフト体験を、同じく葛尾村内で実施する予定です。11月30日(日)には、講師に遠藤英徳ら地元の達人たちを迎えて、毎年恒例の藁もじりワークショップを葛尾村内にて開催します。

これらのワークショップは、ものによって申込が必要な場合もございます。Katsurao Collective 公式サイトで申込情報や持参物などをお確かめのうえ、葛尾村で、首都圏で、地域の魅力的な素材に触れる充実した時間をお過ごしください。

9月までのワークショップのご案内フライヤー

仙台・東京での展示企画も続々と決定!

主に村内で実施する「Katsurao AIR」および「かつらお企画室」で形になったものをご覧いただける展示企画を、仙台および東京で実施いたします。

2024年12月に渋谷ヒカリエ 8/ CUBE 1,2,3 にて開催した「ひかりをむすんで」の展示会場
斎藤英理《新しい木を探す》2024,シングルチャンネルビデオ,17分 せんだいメディアテーク展では過去の滞在作家が制作した映像作品を一挙に上映予定

10月2日(木)~5日(日)の4日間は、宮城県仙台市のせんだいメディアテーク 1階オープンスクエアにて「Katsurao AIR」で生まれた作品を紹介する展示企画を開催予定です。

さらに、12月4日(木)~14日(日)の11日間にわたって、毎年恒例となっている東京都渋谷区の渋谷ヒカリエ 8/CUBE 1,2,3 にて展示企画の開催が決定しています。

いずれの企画も、福島や葛尾村に縁がなくとも、普遍的な洞察をもたらす現代アートの展覧会として、多くの方にお楽しみいただける内容となっております。詳細情報をお待ちください。

創造力を基点とした移住定住の促進・関係人口の創出へ

本プロジェクトでは、葛尾村立葛尾中学校の休校中校舎を活用してワークスペースやスタジオを整備し、アーティストやクリエイターの活動をサポートしています。都市部では得られない制作環境で、クリエイティブ人材の二拠点居住や芸術文化の取り組みを推進し、創造力を基点とした移住定住の促進および関係人口の創出に取り組んでいます。

「なにもない」と語られることもある葛尾村ですが、アーティストたちは「つくらずにはいられない」とばかりに地域の素材や資源を興味津々に見つめています。この創造性が、Katsurao Collective の多岐にわたる活動の源泉です。今後も、村内外のみなさまとこの地での日常を共有すべく、様々な取り組みを展開してまいります。

2025年度の実施企画一覧

6月15日(日)

かつらお企画室「テキスタイルアート体験

〜絨毯技法でアクセサリー、ミニ絨毯作り〜

葛尾村

6月29日(日)

出張かつらお企画室

「羊の毛を織ろう!作ろう!マイチャーム」

東京都

7月24日(木)~27日(日)

Katsurao AIR 2025 Summer 活動報告会

葛尾村

8月16日(土)

Katsurao AIR 2025 Group & Family Program 活動報告会①

葛尾村

8月30日(土)

Katsurao AIR 2025 Group & Family Program 活動報告会②

葛尾村

9月20日(土)~23日(火・祝)

Katsurao AIR 2025 Youth Program 活動報告会

葛尾村

9月21日(日)

かつらお企画室「葛尾村のガラスをつなぐ、キャンドルホルダーづくり」

葛尾村

10月2日(木)~5日(日)

せんだいメディアテーク 1階オープンスクエア 展示企画

仙台市

10月11日(土)

かつらお企画室(陶芸①)

葛尾村

10月25日(土)

かつらお企画室(レザークラフト)

葛尾村

10月31日(金)~11月3日(月・祝)

Katsurao AIR 2025 Autumn 活動報告会

葛尾村

11月3日(月・祝)

かつらお企画室(陶芸②)

葛尾村

11月 開催日未定

出張かつらお企画室(ニット糸)

横浜市

11月30日(日)

かつらお企画室(藁もじり)

葛尾村

12月4日(木)~14日(日)

渋谷ヒカリエ 8/ CUBE 1,2,3 展示企画

東京都

お問い合わせ先・各種SNS

Katsurao Collective(一般社団法人葛力創造舎 内)

福島県双葉郡葛尾村落合菅ノ又14−2 (葛尾村立葛尾中学校 休校中校舎*内事務所)

URL:https://katsurao-collective.com  MAIL:office*katsurao-collective.com
メールアドレスの「*」をアットマークに変換してご利用ください。

事業統括・ディレクター:森 健太郎 アートマネジメント:大井田 弘子 コーディネーター:大山 里奈 キュレーター:山口 貴子 PR:阪本 健吾

Instagram instagram.com/katsuraocollective/

Facebook facebook.com/katsurao.collective/

X twitter.com/katsurao_co

note note.com/katsurao_co

その他、AIRと連動したポッドキャスト番組やかわら版(PDF)を制作・発信している広報企画「スキコム」はこちらから https://katsurao-collective.com/sukikomu

本事業は葛尾村より「令和7年度 葛尾村アーティスト移住・定住促進事業」を一般社団法人葛力創造舎が受託し実施しています。

写真:永井文仁/宮本和之/Katsurao Collective 事務局

会社概要

一般社団法人 葛力創造舎

代表理事:下枝浩徳

住所:福島県双葉郡葛尾村大字落合字夏湯134

URL:https://katsuryoku-s.com/

*本プレス表題「居住人口500名未満」:葛尾村公式サイト「帰村・避難の状況」による。2025年6月1日現在で473名が居住

*葛尾村立葛尾中学校 休校中校舎:葛尾村大字落合字菅ノ又14-2。当該中学校の生徒たちは葛尾村立葛尾小学校の校舎で学んでおり、Katsurao Collectiveでは空いた中学校の校舎を制作スタジオやワークスペースとして活用しています。Google Mapでは「Katsurao Collective事務局」でご検索ください。

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