2024年1年間の日本のアート市場に関する調査レポートを発表

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日本のアート市場における2024年の総売上は1,031億800万円*(6億9,200万ドル)世界全体の売上が12%減少する中、日本は前年比2%増加。

ユニバーサルアドネットワーク株式会社(代表取締役 川上尚志)は、令和7年度文化庁事業「アートエコシステム基盤形成促進事業」の運営事務局として、文化庁事業、令和7年度「アートエコシステム基盤形成促進事業 アート市場における美術品の流通促進のための基盤整備」において、国際アート市場における我が国のシェア拡大と国際的なプレゼンス向上に資することを目的として、日本のアート市場の実力をより正確に把握し、その潜在力を可視化することで国内外における日本のアート市場への適正な評価を確保するため、日本国内のアート市場の現状調査を実施しました。

この度、本事業において、令和6(2024)年度に実施した「国際的なアート市場における日本市場の現状調査」の結果を基に、2024年の日本のアート市場規模等を調査、分析したレポート「The Japanese Art Market 2025」を公開します。日本のアート市場の規模は世界全体の1%(8位)であることは既に知られていますが、本調査の結果、2024年の日本のアート市場の売上金額は、6億9,200万ドル(1,031億800万円*)と推定されることが明らかとなりました。前年同期比で世界全体の売上は12%減少した一方で、日本の市場は2%増加しています。 

(*令和8年1月9日告示の財務省支出官レートより、アメリカ合衆国通貨1ドルにつき149円 で計算)

本調査レポートは、「1.世界および地域の状況」、「2.日本のディーラーとギャラリー」、「3.日本のアートフェア」、「4.日本のオークションハウス」、「5.経済的影響」の5章によって構成され、日本のアート市場を多角的に調査分析しています。


【Key Findings 「2章.日本のディーラーとギャラリーより抜粋」】

  • ディーラーとギャラリーは日本のアート市場の中心であり、2024年の売上は4億9,400万ドル(約736億円)、シェア71%を占めた。世界的な落ち込みの中でも前年比7%成長した。

  • 事業者のうち、58%が年商25万ドル(約3,725万円)未満の小規模事業者であり、年商100万ドル(約1億4,900万円)を超える事業者は20%にとどまっている。また、市場全体としては、プライマリーマーケットへの注力が強まっている。

  • 年商25万ドル未満の小規模ディーラーは、前年からの成長率が最も高く、売上は前年比22%増加。年商1,000万ドル(約14.9億円)以上の大規模ディーラーの売上が世界全体で15%減少する一方、日本の同規模帯は前年比6%の堅調な伸びを示した。

  • 女性アーティストの存在感が高まり、2024年にはギャラリーに所属するアーティストの44%が女性となり、売上シェアも33%と、2023年の20%から大幅に伸長した。


本調査レポートは、国際的に広く認知・評価されている「グローバルアートマーケットリポート」(英名:The Art Basel and UBS Global Art Market Report」)の調査を担当するArts Economics社のクレア・マッカンドリュー博士と連携して作成。日本に法人を置くディーラーとオークションハウスを対象とした美術品等の販売に関する1年間の売上データのアンケート調査のほか、国民経済計算(GDP統計)や経済センサス活動調査、文化庁で行っている「文化行政調査研究」(文化GDP)等、公表されている様々な統計を基に、2024年の日本のアート市場を推計しています。

本調査に関し、クレア・マッカンドリュー博士は、「2024年の日本のアート市場は、世界的な売上縮小が進む中にあっても、市場規模を拡大した数少ない市場として際立ち、高いレジリエンス(強靭性)を示しました。このように、外形的には安定していた一方で、アートフェアや国際取引、渡航といったグローバルに関連する領域でインフレが急速に進行し、多くのアート関連事業者にとっては、依然として厳しい1年にもなりました。しかし、こうした支出は、拡大する国内コレクター基盤を超えた市場の持続的な拡大を支えるとともに、国際的なアート取引の中で、日本の市場をより強固なものにするなど、長期的には戦略的に重要な役割を果たす可能性があります。」とコメントしています。

なお、本調査は、文化庁事業として、令和4(2022)年度から実施されています。日本のアート市場規模は、2023年4月に公表された「グローバルアートマーケットリポート2023」(The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2023)において、世界全体の1%(8位)であると初めて掲載され、世界における日本の存在がようやく可視化されました。

(※2024年3月および2025年3月公表の最新レポートにおいても同規模・順位を維持。)

また、令和5(2023)年5月30日に開催された観光立国推進閣僚会議において、岸田文雄総理大臣(当時)が「文化芸術分野では、国際的なアートフェアの誘致等により、2025年までにグローバル・セブンに食い込むこと。これらの新たな目標の達成に向けて取り組んでいくこととします。」と発言されるなど、日本のアート市場の把握とその拡大は、政府全体で取り組んでいく課題とされています。

文化庁 アートエコシステム基盤形成促進事業とは

文化庁が文化審議会文化経済部会の下にワーキンググループを設置し、令和3年度から重点的に取り組んでいる、我が国におけるアートの振興及び国内アート市場の拡大において、特に、流通における来歴管理や作品の評価価格の不透明性、継続的な統計データの不足等が今後の市場の拡大に向けた大きな障害であることが明らかになりました。本事業においては、これら課題をDX基盤の整備やそれに向けた業務標準化等により解決することを目的とするものです。

 我が国に所在、もしくは今後制作されるアート作品について、今後進むと考えられるデジタル上での情報管理を促進し、情報管理の効率化や流通促進等による価値付け・価値の下支えを進めることで、アート作品の管理適正化、資産化を目指します。また、令和4年度の公的な鑑定評価に関する作業部会、令和5年度の基盤・制度ワーキンググループ等でのアート作品の価格(時価)評価に関する議論を踏まえ、価格評価の客観性を担保する仕組みづくりや、我が国アート市場の基礎統計の整備を行うことで、アート市場の活性化を目指します。