メディアアートを未来へ残すには?「Collection – Correction メディアアートの再編成と作品の延命」WALL_alternative(東京・西麻布)で開催中

0
6
メディアアートを未来へ残すには?「Collection - Correction メディアアートの再編成と作品の延命」WALL_alternative(東京・西麻布)で開催中のメイン画像

畠中実キュレーションのもと、藤田クレア/三原聡一郎の作品を通して作品の保存と継承を考える。最終日3月7日(土)には田部井勝彦、中川陽介、畠中実によるクロージングトークイベントを開催。

エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:加藤信介、以下:ACA)が運営するオルタナティヴ・スペース【WALL_alternative】では、2026年3月7日(土)まで、藤田クレアと三原聡一郎の作品とともにメディアアートの可能性を再考する企画展「Collection – Correction メディアアートの再編成と作品の延命」を開催中です。( https://avex.jp/wall/exhibition/764/ )

Photo by Keizo Kioku

本展では、長年にわたり日本のメディアアートの現場と制度の両面に携わってきた畠中実をゲストキュレーターに迎え、「メディアアートを10年後、100年後にも残すことは可能か?」という根源的な問いに向き合います。

藤田クレアは、作品が自身の手元を離れた後にどのように扱われ、維持され続けるためにどうすべきなのかをあらためて問い直し、販売時の規定書を掲示しています。
一方、これまで一部作品の制作プロセスを公開することで、作品の継承を追求してきた三原聡一郎は、サウンドの発生プログラムを極限まで単純化したサウンドアートプロジェクト《moids》シリーズを紐解く資料や《土をつくる》の装置を展示することで、作品が継承されていくための方法を掲示し、両者の実践を通して、様々な「作品の持続」のあり方を浮かび上がらせます。

時代や技術の進化とともに変化し続けるメディアアートは、ときに歴史そのものを語る存在となります。そのような表現を後世へと残していくために何が必要なのか。本展は、創作者、鑑賞者、収集者といった多様な視点から考えるきっかけとなる展示となっています。

会期最終日となる3月7日(土)には、クロージングトークプログラムを開催。株式会社MeAM代表取締役/テクニカルディレクター・田部井勝彦、同じくコンサベーター/アーティスト・中川陽介、そして畠中実を迎え、展覧会の根本的なテーマである「修復と持続」について、より深く議論するトークセッション「メディアアート作品を『100年のこす』 ─ 作品修復とコレクションの可能性 ─」を行います。(申込はこちら:https://forms.gle/cSWT8bpmm2SzHwwN7 )

なお本展は、恵比寿映像祭2026の地域連携プログラムの一環として開催されるとともに、六本木〜西麻布のナイトカルチャーの文脈から、メディアアートの可能性を再接続する年4回の連続企画 「MEDIA ART CIRCUIT 2026」 の公式プログラムとして実施されています。

また、併設のバーでは、「時代を超えて残り続けるメディアアート」をイメージし、異なるヴィンテージのワイン2種を会期限定でお楽しみいただけます。

ぜひこの機会にご来場ください。


メディア・アートは、一般的にはコンピュータをはじめとするさまざまなメディア・テクノロジーを使用したアート作品を総称する言葉として用いられています。それは、ソフトウェア、センサー、デバイス、ネットワーク技術などといった同時代のテクノロジーの変遷とともにある表現だと言えるでしょう。しかし、そのことは同時に、そうした技術や素材、それをとりまく環境の変化によって、そのあり方が問い直され続ける表現であることも意味しています。

同時代のテクノロジーに触発され、そこに隠されたテクノロジーの可能性を引き出すこと、あるいは、テクノロジーの歴史を遡行して、その本質的な意味を考察することなど、アートの社会に対する機能がそうであるように、メディア・アートもまた、テクノロジーのあり方を再考し、新しいものの考え方を提示するものです。現在のテクノロジーの様相がアートを変えていくように、メディア・アートもまた現在のテクノロジーを批評的にとらえかえしていく、その往還がメディア・アートという営みなのです。

本展は、「メディア・アートを10年後、100年後にも”作品”として残すことは可能か?」という根源的な問いを投げかけられて出発しています。作品の永続性にどうしようもなく一定の制限があるメディア・アート作品は、それゆえに作品の収集に踏み切れないという事例も少なくありません。現在では、メディア・アート作品にかぎらず、過去のテクノロジーを使用した作品が事後的に修復や再制作などをほどこされる事例が多く見られます。それには、作品制作時に、将来的なテクノロジーの劣化を考慮することなしに、ひとまず作品の実現が優先されてしまう、ということがあります。技術や媒体の問題をはじめ、現代の芸術家が用いる素材がどのように永続性のある作品として後世に残しうるかということは、現在では、作品制作と作品保持を支える体制とを同時に考えるべきなのかもしれません。

ここでは、特にバイオ・アートなど有機的な作品や、繊細な機構を持った動的作品について、三原聡一郎が近年活用するコンポスティング装置、そして斉田一樹との共同制作によるサウンド・インスタレーション《moids》シリーズの資料展示、藤田クレアによる、鳥の羽や貝殻など自然物に刻まれた“記憶”を読み取り、サウンドへと変換する作品を通じて、メディア・アートの修復や保全を受け持つ技術者とともに考えます。

畠中実


藤田クレア / Claire Fujita

Photo by Keizo kioku

自然の力と機械構造が交差する瞬間に着目し、環境に呼応して動く彫刻作品を制作しています。貝殻や羽根といった生物の抜け殻を用い、自然由来の素材と金属による機械的な要素を組み合わせることで、作品は風や太陽光、雨などの移ろう自然エネルギーを受けながら、揺れ、振動し、かたちを変えていきます。

自然のエネルギーがもつ予測不可能なリズムや有機的な形態に惹かれ、それらが人工的な構造と出会ったときにどのような変化が生まれるのかを探っています。生命を持たないはずのものが環境と応答し、まるで息づいているかのように振る舞う。その瞬間に立ち会うことで、鑑賞者が「無常」や「変容」を身体感覚として受け取る場を生み出したいと考えています。風や光に反応したり、自然物の形をなぞるように音を奏でる作品では、意図的な制御よりも、環境の変化や素材そのものが表現の一部となることを大切にしています。

テクノロジーと自然を対立するものとしてではなく、互いに影響し合いながら新たな関係性を築く存在として捉え直すことを目指しています。視覚的に「見る」だけでなく、音や匂い、空気感といった環境全体を通して「感じる」行為を促し、世界に潜む目に見えないリズムを感受するための装置として作品を制作しています。

Instagram:https://www.instagram.com/clairefuji/

三原聡一郎 / Soichiro Mihara

Photo by Keizo kioku

世界に対して開かれたシステムを提示し、音、泡、放射線、虹、微生物、苔、気流、土、水そして電子など、物質や現象の「芸術」への読みかえを試みている。2011年の東日本大震災を機に「空白のプロジェクト」を開始。2013年より滞在制作にて、北極圏から熱帯雨林、軍事境界からバイオアートラボまで、芸術の中心から極限環境に至るまで、これまでに計10カ国20箇所を渡る。2022年より「3月11日に波に乗ろう」共同主催。近年、これまでの活動を「空気の芸術」として、振動、粒子、呼吸というカテゴリーに基づいたアーカイブ実験をレシピの形式に基づいて進めている。

Instagram:https://www.instagram.com/miharasoichiro/ 

COLLABORATOR

斉田一樹 / Saita Kazuki

電子楽器製作者、プログラマー。木下研究所客員所長。

東北大学工学部電子工学科、情報科学芸術大学院大学スタジオ2修了。在学中より、三原聡一郎らとmoidsをはじめる。2019年まで、ソフトウェアエンジニアとして楽器製作会社に勤務。「ブレッドボードバンド」、「車輪」といった自作電子楽器製作・演奏ユニットとして活動している。シンセサイザーや電子工作についての書籍の監訳も行なっている。

畠中実 / Minoru Hatanaka |ゲスト・キュレーター

1968年生まれ。近年のおもな展覧会に、「多層世界とリアリティのよりどころ」(2022年)、「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」(2023年)、「ICCアニュアル2024 とても近い遠さ」(2024年)、「evala 現われる場 消滅する像」(2024年)など。ICC以外の展覧会では、「Ennova Art Biennale Vol.1」アーティスト選考委員(中国、2024年)、森美術館「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」アドヴァイザー(2025年)を務める。著書に、『現代アート10講』(共著、田中正之編、武蔵野美術大学出版局、2017年)、『メディア・アート原論』(久保田晃弘との共編著、フィルムアート社、2018年)。


【TALK PROGRAM】

CLOSING TALK  SESSION

「メディアアート作品を『100年のこす』

  ─ メディアアート作品修復とコレクションの可能性 ─」

日程:2026年3月7日(土) 

時間:18:00-19:00

※19時以降は通常営業

※事前申込制/入場無料

登壇者:田部井勝彦、中川陽介、畠中実

会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)

お申し込みURL:https://forms.gle/cSWT8bpmm2SzHwwN7 

田部井勝彦 / Katsuhiko Tabei

撮影:中川陽介

株式会社MeAM代表取締役。メディアアート作品の修復・メンテナンスサービスを提供し、メディアアート作品の保守課題に取り組む。2007年情報科学芸術大学院大学[IAMAS]修了。在学中よりメディアアート作品の制作を行う。また、美術展インストーラーとして映像やメディア技術表現を主軸に、多くの作品や展覧会施工を担う。2022年テクニカルディレクターとしてシビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]立ち上げに参画。2025年株式会社MeAMを設立。主な修復作品に三上晴子《存在、皮膜、分断された身体》、岩井俊雄《時間層シリーズ》、原広司+東京大学生産技術研究所 原研究室《25の譜面台-様相論的都市の記号場》(技術協力)、マウリツィオ・カテラン《Untitled》などがある。

https://meam.st 

中川陽介 / Yousuke Nakagawa

タイム・ベースト・メディア作品の保存修復および収蔵に携わる一方で、アーカイブや作品保存の技術を用いて美術制度やインフラへ介入するアーティストとしても活動している。自ら調達した電力を用いて映像展示を行う個展「STAND!ALONE!!」、美術館の改装過程を記録し、その状態自体を作品化した《ここは閉じていた》、膨大な時間をかけてブラウン管に表示可能なすべての画像を出現させる《(ブラウン管TVに於ける)過去と未来の全ての画像を保管する装置》、さらに千年単位の保存を想定した処理をバナナの皮に施した《Timeless BANANA》などの作品を発表。また、アーティストの小山渉と共に映像やデータ作品の販売方法、納品形態、作品証明書のあり方に着目した展示とトークの企画「EDITION BOX」を主催している。


【展示概要】

「Collection – Correction

メディアアートの再編成と作品の延命」

会期:2026年2月11日(水)〜3月7日(土)

※日曜定休 

時間:18:00-24:00

会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)

入場:無料・予約不要

HP URL:https://avex.jp/wall/exhibition/764/ 

企画・主催:WALL_alternative

ゲストキュレーター: 畠中実

企画協力:吉田山(FLOATING ALPS LLC.)

グラフィックデザイン:桑田亜由子

会場構成:山際悠輔

助成:アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】

■「MEDIA ART CIRCUIT 2026」概要

「MEDIA ART CIRCUIT 2026」は、西麻布のアートスペース「WALL_alternative」を拠点に、六本木〜西麻布のナイトカルチャーの文脈から、メディアアートの可能性を再接続する年4回の連続企画です。1980〜90年代のクラブカルチャーに根付いていた音楽・映像・光・身体表現の融合を起点に、現代のメディアアーティスト、音楽家、エンジニアとともに展示・音楽・トークを複合的に展開。都市回遊型のサーキットを通じて、新たな表現の実験と文化の継承を目指します。


WALL_alternative

アートを軸に、音楽やカルチャーが交差する風景を東京・西麻布から発信するアートスペース。ナチュラルワイン、特に日本ワインを中心に提供するカウンターバーを併設し、夜のみオープン。多様な人々が集い、有機的に混ざり合う“夜のたまり場”を目指し、アートと日常、創造と交流が自然に溶け合う時間を育んでいます。

Instagram:https://instagram.com/wall_alternative
Web:https://avex.jp/wall/