水曜日, 10月 15, 2025
ホームイベント福祉施設とアーティストが協働する。きむらとしろうじんじん「山谷堀 大茶湯かぞく」開催!

福祉施設とアーティストが協働する。きむらとしろうじんじん「山谷堀 大茶湯かぞく」開催!

共に過ごす時間から生まれる“多様性の共同体”

東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、一般社団法人谷中のおかってが主催するTURN LANDプログラムは、障害福祉施設 浅草みらいどと協働プロジェクトを実施しています。アーティスト・きむらとしろうじんじん氏によるアートプロジェクト「野点(のだて)」*を軸に、約半年間かけて利用者施設と共につくりあげた一日限りの特別企画「山谷堀 大茶湯かぞく(さんやぼり おおちゃのゆかぞく) 」を開催します。

2025年10月18日(土)12時頃から 山谷堀公園(浅草高校前)にて

 「障害」は人にあるのではなく、社会との関係の中で起きるものという考え方があります。つまり、「障害」は社会の側にあり、私たち一人一人がつくり出すコミュニティのあり方によってその形は変わるといえます。この「山谷堀 大茶湯かぞく」は、そんな社会のあり方そのものに問いを投げかける試みです。明確な目的やビジョンを最初から共有するのではなく、共に過ごし、共に協働する時間を通じて、少しずつ形になっていくコミュニティの姿を提示します。

【公式WEBサイト】TURN LANDプログラム プロジェクト紹介ページ

2024年度 きむらとしろうじんじんの「野点」開催時の様子。

*きむらとしろうじんじんの「野点」とは

陶芸家・美術家のきむらとしろうじんじんが、素焼きのお茶碗と陶芸窯・お茶道具一式を積んだリヤカーで、まちかどや山の中、海辺など、その土地のさまざまな場所に出現。参加者がその場で絵付けをしたお茶碗を楽焼(らくやき)という方法でその場で焼き上げ、自作のお茶碗で「その土地の・その日・そのときの風景の中で」お茶を楽しむ、陶芸お抹茶屋台-移動式カフェ-旅回りのお茶会(アートプロジェクト) です。

【開催概要】

「山谷堀 大茶湯かぞく」

お披露目の日(イベント本番)

きむらとしろうじんじんの「野点」を通じて、さまざまな人が立ち寄れる交流の場をひらきます。

日時:2025年10月18日(土)12時頃~日暮れまで(雨天決行・荒天中止)

会場:山谷堀公園 浅草高校前(東京都台東区浅草7丁目9~11付近)

企画運営:浅草みらいど
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、一般社団法人 谷中のおかって

プロジェクトの見どころと取材の視点

1.計画されたビジョンの具現化ではなく、プロセスから生まれる協働のかたち

プロジェクト名について相談するきむらとしろうじんじんと浅草みらいどの利用者、その様子を見守る職員。

プロジェクトの構想段階から、浅草みらいどの職員と利用者とアーティストで相談しながら企画づくりをしています。「山谷堀 大茶湯かぞく」という名称は、浅草みらいどの利用者たちの「街と新しい関係を築き、家族のような温かいコミュニティをつくりたい」という思いから生まれました。

10月の本番に向けて、最初から厳密な役割分担を設けるのではなく、共に活動を重ねる中で、役割を担えそうな人には自然な形で役割をお願いしていきます。利用者も一緒に、それぞれのペースで茶碗づくりや会場準備に携わるなど、共に過ごす時間そのものが、創造的なプロセスとなっています。

取材の視点例:

  • 「プロセスから生まれるアート」:協働の過程で互いの特性を活かし、一つの「野点」という作品へと結実していく様子。

  • 「役割分担の新しい形」:指示や役割の線引きをせずとも各々が自分の居場所を見つけ、場に貢献していく姿。


2. 本番の日が物語る、共生社会の可能性

浅草みらいどの利用者や地域の人々が、自分で絵付けしたお茶碗で抹茶を飲む様子。
語らいながらお茶碗に絵付けをする様子。

 10月18日(土)の「山谷堀 大茶湯かぞく」お披露目の日は、これまでの取り組みの集大成です。浅草みらいどの利用者や家族、地域住民、そして通りがかった人々が「野点」を介して交わり、多様な人々が共にいること、そしてそれぞれの力が結びつくことで生まれる魅力的なコミュニティの姿を実感できる場となります。目的を一本化せず、多様なビジョンを受け入れる——そんな柔らかな協働の形を可能にするアートが得意とするアプローチです。

 この風景は、共生社会やこれからのコミュニティのあり方、さらには多様な人々と協働する未来のマネジメントに関心のある方々にとって、多くの示唆を与えてくれるはずです。

取材の視点例:

  • 「共生の可能性を目撃する」: お茶碗の絵付けやお茶を介して語り合い、互いの違いを超えて魅力を分かち合う交流の様子。

  • 「持続可能なコミュニティのモデル」: アートが参加者のモチベーションや自発的な関わりを引き出し、社会関係資本を生む仕組み。


3. 「自発的な喜び」がつくる、持続可能な未来

車の絵を描くのが得意な利用者が制作した「駐車禁止」のポスターを、アーティストとともにイベント会場へ設置する様子。

 このプロジェクトの魅力は、「実現してみたい」「この人たちと関わっていたい」という多様なプロジェクトメンバーの純粋な気持ちを形にできる自由さにあります。利用者や福祉職員、地域の協力者たちが「こんなことが起きたら素敵だな」という思いを抱き、それを実現していくことで、活動が負担となるのではなく、自分たちの喜びとして続いていくことを目指しています。

少子化やコミュニティの希薄化が進む現代社会において、主体性と創造性に基づく新しい社会参加のあり方に示唆を与える取り組みです。

取材の視点例:

  • 「主体的な参加が生む喜び」: 「アーティストの手伝いをする人」から、「アーティストと共に魅力的な風景をつくる一員」へと変わっていく利用者や福祉職員、地域の協力者たちの姿。

  • 「福祉施設と街の新しい関係」: 福祉施設が「社会の一員」として、自分たちの喜びのためにアートを街に持ち出すことで、新たな関わりを生み、地域に文化的な時間をもたらす可能性。


アーティストプロフィー

きむらとしろうじんじん

1995年から独自の「野点」を全国各地で開催。路上や空き地などで通行人や見物人も含めた一期一会を生み出すアーティスト。ドラァグクイーンの出立ちで、参加者が素焼きのお茶碗に絵付けをしその場で焼き上げられたお茶碗で一服できる、移動式陶芸お抹茶屋台「野点(のだて)」を展開する。会場をみんなで選ぶ「お散歩会」や、当日のボランティアスタッフたちと本番さながらに作業工程を確認する「体験説明会」など、本番までのプロセスにおける交流を積み重ねながらのびやかな風景を立ち上げる。

Photos by Ayaka Umeda

TURN LANDプログラムについて

 TURN LANDプログラムでは、福祉施設の職員や利用者、アーティスト、地域の人々などが交流を重ね、拠点となる空間やそこに集う人々の魅力を見出しながら、 共にアートプログラムを開発します。異なる習慣/視野/価値観をもった人々がそれぞれの「違い」を受け止め合い「共に居られる状況」を目指し、アートと福祉分野の特性を活かしてさまざまな「壁」を創造的に乗り越え、少し先の未来が楽しみになるような状況をつくります。

また、福祉現場の職員やアーティストたちが集い、知見を共有する場を設けることにより、豊かに共生できる社会の実現に向けて協力し合う仲間とのネットワークを醸成します。

2022年よりスタートし、高齢者のグループホームやデイサービス、障害者福祉施設、フリースクール、放課後等デイサービスなど、多様な福祉の現場から19施設が参画しています。ダンサーや音楽家、エンジニア、哲学者などさまざまな専門性のあるアーティストが参加しています。

TURN LANDプログラムの詳細はWEBサイトをご覧ください。

https://turn-land-program.com/

主催|東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、一般社団法人 谷中のおかって

問い合わせ先

一般社団法人 谷中のおかって

TURN LANDプログラム事務局(担当:渡辺)

MAIL:info.turnland@gmail.com

WEB:https://turn-land-program.com/#information 

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