北陸三県高校生現代アートビエンナーレ 入賞決まる

【福井県坂井市】7年ぶり たぎるアート魂のぶつかり合い
新型コロナウイルス禍などで長く休止し、7年ぶりの開催となった福井県坂井市や同市教育委員会など主催の「第7回北陸三県高校生現代アートビエンナーレ」の作品創作がこの夏休み期間中から始まり、福井、石川の両県の11高校の28作品が坂井市の三國神社など市内4会場で展示されている。8月7日には、審査会が行われ、入賞作5点が決まった。最高賞のグランプリには鯖江高校(福井県鯖江市)の5人による「水運の象徴」が輝いた。高校生の若い感性で創作されたアート群は、見る者に刺激を与えそう。
【※連日の悪天候により、展示作品は、かなり破損しているものもいくつかあります】
金賞は啓新(福井)が受賞
同ビエンナーレは、旧三国町ゆかりの世界的なジャンクアート作家、小野忠弘氏(1913―2001)が自ら、三国高校の美術教諭を務め人材を育成しながら独創的なアート作品を創り続けたことにちなみ、高校生に三国ゆかりの歴史的な場所でインスタレーションし、若い発想で作品づくりに挑んでもらおうと2006年に第1回を開催。その後、ほぼ2年に1度のペースで開催してきたが、コロナ禍の影響もあって2018年度の第6回以降、休止していた。

第3回(2010年)以降は対象枠を福井県内から北陸3県に広げ、過去6回のビエンナーレには、福井24校、石川3校、富山3校が参加、最も多い時には38点の出品があった。
アート作品をつくる制作現場は、小野氏作品を紹介する「ONOメモリアル」や三國神社、丸岡城、一筆啓上日本一短い手紙の館の計4カ所で、11校(福井9、石川2)28作品の出品があった。審査員は、東京オペラシティアートギャラリーチーフ・キュレーターの天野太郎氏をはじめ、地元坂井市三国町出身で小野氏の教え子に当たるアーティストの戸田正寿氏らアートに携わる5人が務めた。
今回、グランプリを射止めた鯖江高校の「水運の象徴」は、荒木陽菜乃さん、金谷千陽さん、奥村来未さん、林来美さん、三津谷唯人さんのいずれも2年生の5人による共同作品。
砂利敷きの丸岡城天守前の広場を波立つ海面に例え、波間を往く北前船(高さ、長さともに1メートル超え)を描いた。北前船の船体や帆柱を石で、帆を紙で表現、砂利敷きの模様が“枯山水”のようにも見え、背後にある丸岡城天守と美しくマッチングしている。天野審査委員は「丸岡城、三國湊の北前船文化と坂井平野の水運とこれらの周囲の歴史を踏まえ、場所的にもよく考えられている。造形的にも素晴らしい」などと高く評価していた。金賞、小野忠弘賞、坂井市長賞など上位にはいずれも福井県勢の高校が選ばれた。

「万緑映ゆる夏の日」
【金賞】工藤羚賀(啓新高校)=三國神社境内

「アンビエントの旋律」
【小野忠弘賞】森 福樹(藤島高校)=三國神社境内

「存在」
【坂井市長賞】飯塚悠太、佐々木花、北澤姫乃、中嶋美優(三国高校)=三國神社境内